1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61480438
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高木 信夫 北海道大学, 国立大学(その他), 助教授 (20001852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 本道 北海道大学, 理学部, 教授 (70000817)
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Keywords | EC細胞 / 細胞融合 / X染色体 / X染色体不活性化 / DNAメチル化 |
Research Abstract |
1.X-常染色体転座T(X;16)【_(16)H】を持つ雌マウスとMus m.castaneusのX染色体(【X^(cas)】)を持つ雄マウスとの交配から、転座X(HPRT-B)と【X^(cas)】(HPRT-A)を持つ雌個体を得た。【X^(cas)】が選択的に不活性化しているこの個体の胸腺リンパ球とEC細胞株OTF9-63(HPR【T^-】とを融合して得られたEC様の雑種クローンのほとんどでは、X染色体は同調複製しており、HPRTはA、B両バンドのみならずハイブリドバンドも検出された。従って不活性であった【X^(cas)】が融合細胞において再活性化されることはHPRT遺伝子を用いても立証されたことになる。 2.OTF9-63細胞と雌マウスリンパ球との雑種細胞では、融合後4〜5日で不活性X(Xi)の活性化が起きる。細胞分裂の可逆的阻害と【^3H】チミジンによる標識実験より、Xiの活性化に重要なのは融合後の時間ではなく、細胞分裂の回数であり、融合後5回の細胞分裂を経てXiは再活性化する。 3.成体リンパ球のみならず受精後135日目マウス胎仔の肝臓および卵嚢細胞もOTF9-63と融合した場合Xiは再活性化する。同様に胸腺リンパ腫細胞株MTL-1のXiも活性化し、この現象が癌細胞にもあてはまることが判明した。 4.マウスHPRT遺伝子の第1イントロン中にXiではメチル化され、活性X(Xa)ではメチル化されていない部分がある。この部位のメチル化とX染色体不活性化(XCI)との時間的な関係をEC細胞とマウス胚を利用して調べた。結局、この部分はXCI以前にはメチル化されておらず、XCI後も数日間メチル化しないままであることが判明した。また、このXiに特異的とされるメチル化は卵黄嚢など胚外部では胚体部よりはるかに低いことも判った。従って、このようなDNAのメチル化はXCIの開始には重要とは考えられず、むしろ不活性状態を維持するための二次的、組織特異的な機構ではないかと思われる。(カリフォルニア大、Gail Marfin博士との共同研究)。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Okuyama,K.;Takagi,N.;Sasaki,M.: Experimental Cell Research. 164. 323-334 (1986)
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[Publications] Lock,L.F.;Takagi,N.;Martin,G.R.: Cell. 48. 39-46 (1987)
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[Publications] 高木信夫: 蛋白質・核酸・酵素. 31. 1402-1414 (1986)
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[Publications] 高木信夫,野口武彦,村松喬編: "マウスのテラトーマ(染色体・クロマチン・酵素)" 理工学社, 274(21) (1987)
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[Publications] 菅原修,高木信夫,菅原七郎編: "哺乳動物の発生工学実験法(染色体解折と遺伝子の発現機構解折)" 学会出版センター, 323(11) (1986)