1988 Fiscal Year Annual Research Report
血液凝固線溶系調節機構の分子生物学的・生化学的解析
Project/Area Number |
61480459
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小出 武比古 新潟大学, 医学部, 講師 (60018695)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小谷 昌司 新潟大学, 医学部, 講師 (60018702)
|
Keywords | 血液凝固制御機構 / 高ヒスチジン糖タンパク質 / HRG / ヘパリン / ヘパリン結合部位 / デキストラン硫酸 / プロテインCインヒビター / Zn^<2+> |
Research Abstract |
1.Histidine-rich glycoprotein (HRG) のヘパリン中和作用について検討し、その機能ドメインを同定した。 HRGは、ヘパリンとの強い結合能によってヘパリン中和作用を発揮し、ヘパリン依存性の凝固線溶系制御因子の機能を調節するが、そのヘパリン中和作用はZn^<2+>存在下で著しく促進された。このことは、HRGのヘパリン結合能がZn^<2+>濃度依存性に増加するためと結論された。さらに、HRGのヘパリン結合部位を同定する目的でHRGを少量のキモトリプシンで限定分解し、ヘパリン固定化カラムへの結合能を調べたところ、分子量43KDaと45KDa断片(Ch-43K/Ch-45K)が結合画分として得られた。Ch-43K/45Kのヘパリン中和作用は、HRGの約25%ながら、HRGと同様にZn^<2+>濃度依存性に促進された。Ch-43K/45KのNH_2-末端配列とアミノ酸組成から、Ch-43KはHRGのNH_2-末端領域の2個のシスタチン様ドメインに相当し、Ch-45KはNH_2-末端からProline-Richドメイン1までに相当することが明らかになった。 2.各種デキストラン硫酸(DS)によるプロテインCインヒビター(PCI)の活性化とHRGによる調節作用を明らかにした。PCI活性化能の最も強いDSについて、種々の分子量(2、4、6、10、36、138および420KDa)と、各3種のS含量(5、9、18%)のDSを比較検討したところ、10KDaで最大の反応速度定数が得られた。同一分子量のDSでは、S含量に関係なく、同じ最大反応速度定数が得られたが、S含量の高いもの程低濃度であった。また、ヘパリンおよびDSによるPCIの活性化は、共存するHRGの濃度依存性に抑制され、対PCIモル比2で完全に抑制された。HRGの抑制効果はCa濃度依存性に減少し、1mM Ca^<2+>存在下では完全に消失したが、20μM Zn^<2+>の共存下では、Ca^<2+>による影響はほとんど認められなかった。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] Odani,Shoji: Analytical Biochemistry. 171. 305-309 (1988)
-
[Publications] Koide,Takehiko: Thrombosis Research. suppl.8. 91-97 (1988)
-
[Publications] Kazama,Yoshiaki: Thrombosis Research. in press. (1989)
-
[Publications] 小出 武比古: 蛋白質・核酸・酵素. 33. 992-998 (1988)
-
[Publications] 小出 武比古: 病態生理. 7. 316-319 (1988)
-
[Publications] 小出 武比古: Medical Immunology. 16. 9-25 (1988)
-
[Publications] Koide,Takehiko: "Fibrinolysis:Current Prospects." John Libbey,London, 55-63 (1988)
-
[Publications] 小出 武比古: "血栓形成と血栓溶解" 日本科学技術協会, (1989)