1986 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア蛋白質前駆体の受容体及び局在化に要求される細胞質因子の研究
Project/Area Number |
61480463
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
坪井 昭三 山形大, 医学部, 教授 (70004554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斧 秀勇 山形大学, 医学部, 助手 (40160915)
佐藤 道比古 山形大学, 医学部, 助手 (00135344)
吉田 匡 山形大学, 医学部, 助教授 (10004673)
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Keywords | ミトコンドリア / 附加ペプチド / オルニチンアミノ基転移酵素前駆体 / 細胞質因子 / リポソーム / 前駆体受容体 / 細胞内局在化機構 |
Research Abstract |
ミトコンドリアのマトリックス酵素の一つであるオルニチンアミノ転移酵素(OAT)前駆体の附加ペプチド(アミノ酸残基34個)を化学的に合成しその合成附加ペプチドがミトコンドリアへ取り込まれるかどうかを検討したところ、エネルギーに依存してマトリックス内へ正確に輸送されることが明らかとなった。そこで、前駆体のミトコンドリアへの輸送に要求される細胞質因子の精製と性質の検討を行った。 OAT附加ペプチドのミトコンドリアへの輸送に対する促進効果を指標にして、兎網状赤血球溶血液よりDE-セルロース及びオクチルセファロースカラムを用いて細胞質因子の精製を行い、溶血液より計算し約2万倍、分子量約20万の精製標品を得ることが出来た。この標品のOAT附加ペプチド輸送に対する促進活性は、RNase処理を行っても全く消失することはなかったが、トリプシン処理により完全に失活した。それ故、この細胞質因子はRNAを含まない蛋白質であると考えられる。 一方、ミトコンドリア外膜より調整したミトコンドリア蛋白質前駆体の受容体部分精製標品とレシチンを用いて調整したリポソームは、ポリンあるいはOATなど数種のミトコンドリア蛋白質前駆体を特異的に結合するが、OAT附加ペプチドもこのレシチンリポソームに結合されることが判った。その結合は細胞質因子により強く促進されるが、リポソームへのOAT附加ペプチド結合量とOAT附加ペプチドの濃度との関係を検討してみたところ、OAT附加ペプチドのリポソームへの結合量は、【10^(-6)】Mまではほぼ完全に細胞質因子に依存することが明らかとなった。すなわち、ミトコンドリア蛋白質前駆体の生理的な細胞内濃度と考えられる範囲内では、前駆体と受容体の結合は細胞質因子に依存することを示すものと判断された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.ONO;S.TUBOI: European Jonrnal of Biochemistry. 155. 543-549 (1986)
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[Publications] S.TUBOI;M.SATO;H.ONO;K.KOBAYASHI;K.HIRAGA: Advances in Enzyme Regulation,eddited by G.Weber. 25. 461-484 (1986)
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[Publications] H.ONO;S.TUBOI: European Journal of Biochemistry.