1986 Fiscal Year Annual Research Report
化学合成RNAを利用するRNAスプライシング機構の研究
Project/Area Number |
61480464
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大島 靖美 筑大, 生物科学系, 助教授 (90037606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 栄子 北海道大学, 薬学部, 教授 (80028836)
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Research Abstract |
1.ヒトβグロビンの第1イントロンを含む転写RNAとHeLa細胞核抽出液によるin vitroスブライシング系に対する、9塩基の合成オリゴヌクレオチドの影響を調べた。この結果、5′スプライス部位のconsensus配列をもつ【CAG^↓】GUAAGU(ROS-54),ヒトβグロビン第1イントロンのbranch point配列をもつCACUG【A!*】CUC(RAM90)ともに、基質RNAの10,000倍添加しても影響が見られなかった。 2.メチル化オリゴヌクレオチドで5′スプライス部位のconsensus配列をもつCmAmGmGmUmAmAmGmUm(ROS-54m)及びこれと相補的なAmCmUmUmAmCmCmUmGm(ROS-55m)について、同じ系に対する影響を調べた。この結果、ROS-54mは基質RNAの10,000倍の添加により、スプライシングの第2段階のみを約1/2に阻害し、50,000倍添加により、第1・第2段階とも殆んど完全に阻害した。ROS-55mは10,000倍添加では効果が無かったが、50,000倍添加では完全にスプライシングを阻害した。1の結果と比べて、メチル化RNAの方がやや阻害効果が大きいことが示唆されるが、これはスプライシング反応中の安定性がより高いためである可能性も考えられる。 3.スプライシング反応の過程で切断により生ずるイントロンの5′末端は、次に枝分れ構造の形成に関与する。この時イントロンの5′末端を識別する因子を解明する目的で、ヒトβグロビン第1イントロンの5′末端に相当する9塩基のオリゴヌクレオチド【^↓GUUGGUAUC】及びこれに相当するconsensus配列【^↓GUAAGUAUC】を液相法により化学合成した。これらとHeLa細胞核抽出液由来のDEAEカラムの各分画との結合を調べたところ、U1-RNPの分布とほぼ対応して後者に対する結合が見られた。また、TCA沈でん法によりこれらと共有結合する因子を探索したが、見出せなかった。 4.3′スプライス部位のconsensus配列をもつ18塩基のオリゴヌクレオチド【UCUUUCUUCUUCCAAG^↓】GAUを固相法により化学合成した。
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