1986 Fiscal Year Annual Research Report
ミリ秒の時間分解能で生理学的測定と電子顕微鏡像とを結びつける方法の開発とその応用
Project/Area Number |
61480473
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
月田 承一郎 臨床医総研, その他, その他 (50155347)
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Keywords | 急速凍結法 / 液体ヘリウム / 骨格筋 / 時間分解能 / 網膜 / 興奮収縮連関 / 光受容 |
Research Abstract |
液体ヘリウム温度の純銅ブロックに試料を圧着するという急速凍結法を基本として、以下2つの重要な生命現象の基礎メカニズムの解明をめざし、新しい凍結システムの開発を試みた。 1.骨格筋の興奮収縮連関の分子機構 骨格筋の収縮は、形質膜の脱分極が横細管を通して筋小胞体からのカルシウムイオンの遊離を引き起こすことによって引き金がひかれる。この過程を興奮収縮連関と呼ぶが、その詳しい分子機構は不明の点が多かった。我々はこの問題を解く手がかりを得るためにカエル生筋を電気刺激し、その後の任意のタイミングで張力を測定しつつ急速凍結するシステムを開発した。このシステムを用いることにより休止筋が興奮して収縮し、再び弛緩するまでの過程をミリ秒レベルのコマ取り写真として電子顕微鏡で追跡することに成功した。その結果、この収縮弛緩の過程で横細管と筋小胞体が極めて大きな形態変化を示すことが明らかとなった。すなわち、横細管が興奮すると同時に横細管の局所的な膨大が見られること、その直後に横細管と筋小胞体の結合がはずれること、張力の増大に伴って筋小胞体の網目の様子が激変することなどが判明した。これらの変化は可逆的であり、筋肉の興奮収縮連関の機構を考える上で重要な所見が得られたと孝えられる。 2.網膜における光受容過程と細胞骨格の関係 網膜における光受容過程における細胞骨格の役割を明らかにする目的で、イカ網膜に光をあてたのち、さまざまなタイミングで急速凍結するシステムを開発した。網膜の電位を測定しつつ急速凍結することには既に成功しており現在種々の条件下での像をあつめ、分析しつつある。
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[Publications] Shoichiro Tsukita: Biomedical Research. 7. 53-63 (1986)
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[Publications] Takaaki Kobayashi: Journal of Cell Biology. 102. 1699-1709 (1986)
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[Publications] Shoichiro Tsukita: Journal of Cell Biology. 102. 1710-1725 (1986)
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[Publications] Yasushi Okamura: Brain Research. 383. 146-158 (1986)
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[Publications] Shoichiro Tsukita: Biomedial Research. 7. 1-6 (1986)
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[Publications] 月田早智子: 生体の科学. 37. 460-468 (1986)
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[Publications] 月田承一郎: "電子顕微鏡生物試料作製法" 日本電子顕微鏡学会関東支部, 318 (1986)
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[Publications] 月田承一郎: "血小板1986ー血小板の細胞骨格と膜糖蛋白質ー" 蔵本淳,他, 184 (1986)