1986 Fiscal Year Annual Research Report
脳障害モデル動物を用いた諸種脳代謝賊活薬の作用機序に関する研究
Project/Area Number |
61480483
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
渋谷 健 東京医大, 医学部, 教授 (20074479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 宏三 東京医科大学, 医学部, 講師 (20074651)
佐藤 勝彦 東京医科大学, 医学部, 助教授 (00133372)
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Keywords | 脳障害モデル動物 / 脳循環動態改善薬 / 脳代謝賦活薬 / 脳内アミン / ガスクロマトグラム質量分析計 / 高速液体クロマトグラム / 蛍光組織化学 |
Research Abstract |
1.脳循環障害モデル動物の作成と吟味。(1)ラットの頚動脈を両側若しくは一側性に結紮した動物(結紮動物)。(2)ラットの椎骨動脈のみを焼痂した動物、あるいは椎骨動脈焼痂後、両側若しくは一側性に結紮した動物(焼痂動物)。(3)直径3μmのビーズを頚動脈から注入した動物(ビーズ動物)等モデル動物を作成し吟味したところ、好結果が得られた。2.今年度、上記の脳循環障害モデルの中から結紮動物を用いて、脊髄反射活動電位及び脳、脊髄の薬理学的並びに病理組織学的検索と脳虚血動物に及ぼすvinpoce-tineの影響を蛍光組織化学的に検索した。(1)片側脳循環障害動物を用い、脊髄反射電位は常法によって測定した。組織血流量の測定はblood flow meterを用いた。病理組織標本はH.E.染色で検討した結果、1)MSRを左総頚動脈結紮後5min値と結紮前値で比較するとMSRは約1/15の電位低下が認められた。2)結紮群では3日目、7日目でのMSRの立上がりは老・若齢群共に延長が観察された。3)大脳皮質血流量では、増加が見られた。また、脊髄組織血流量では減少が見られた。4)脳の病理組織学的所見では結紮後1日目に神経細胞の浮腫が認められ、7日目ではastrocytoの萎縮が見られた。また脊髄では結紮7日目で神経細胞の萎縮及び脱髄が観察された。(2)脳虚血時のmonoamineに及ぼす影響は、脳組織の蛍光組織標本を作成して検索した。脳虚血動物はラットを用い、両側総頚動脈を結紮2時間後に断頭した。1)脳虚血により脳内の細胞体及び終末のcatecholamine及びserotonine蛍光が減弱した。2)vinpocetineを前投与した場合、脳虚血によるcatecholamine及びserotonin量の減弱に対して増強作用を示した。また、脳内catecholamine及びserotoninの代謝回転の促進作用を示した。したがって本薬は脳虚血時のamine代謝障害を改善するものと思われる。
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