1987 Fiscal Year Annual Research Report
脳障害モデル動物を用いた諸種脳代謝賦活薬の作用機序に関する研究
Project/Area Number |
61480483
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
渋谷 健 東京医科大学, 医学部, 教授 (20074479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 宏三 東京医科大学, 医学部, 講師 (20074651)
佐藤 勝彦 東京医科大学, 医学部, 助教授 (00133372)
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Keywords | 脳障害モデル動物 / 脳循環環動態改善薬 / 脳代謝賦活薬 / 脳内アミン / ガスタロマトグラム質量分析計 / 高速液体クロマトグラム / 蛍光組織化学 |
Research Abstract |
1.脳循環障害モデル動物の作成と吟味. (1)ラットの頸動脈を両側若しくは一側性に結紮した動物(結紮動物). (2)ラットの椎骨動脈のみを焼痂した動物, あるいは椎骨動脈焼痂後, 両側若しくは一側性に結紮した動物(焼痂動物). (3)直径3μmのビーズを頸作脈から注入した動物(ビーズ動物). 2.前年度に引続き, 上記の脳循環障害モデル動物を用いて, 各種脳循環動態改善薬・脳代謝賦活薬を投与することにより, これらがモデル動物の脳内catecholamine,acetylcholine及びGABAにどのような影響を及ぼすかを, ガスクロマトグラム質量分析計, 高速液体クロマトグラフ及び蛍光組織化学を併用して検索すると共に, 各種血管血流量の測定, また, 両側脊髄反射活動電位を測定し, 基礎的研究を推進している. 3.今年度, 上記の脳循環障害モデルの中から, ラットの両側総頸動脈を結紮して作成した脳虚血動物を用いて実験を行った. 薬物はSーadenosyl methlonine(SAM)及びCDPーcholineを使用し, 脳循環障害時におけるcatecholamine代謝, エネルギー代謝及び過酸化脂質に及ぼす影響を検索した. (a) SAM 10及び50mg/kg i.p.では, 脳虚血時における脳内noradrenaline及びdopamineの減少に対した軽度な増加作用を示した. CDPーcholine 50及び250mg/kg i.p.では, dopamoineの減少に対して増加細用を示した. (b) SAM 50mg/Kg i.p.及びCDPーcholine 250mg/kg i.p.では, 脳虚血によって減弱する正中隆起及び線条体のcatecholamine蛍光が増強し, 黒質(A10),側坐核及び〓結節におけるdopamine蛍光に増強が認められた. (c), SAM 10及び50mg/kg i.p.では,脳虚血時における脳内ATP含量の減少に対して増加傾向を示し, 乳酸の増加に対して抑制傾向を示したが, CDPーcholine 50及び250mg/kg i.p.では影響がなかった. 以上から,SAMは緩徐な脳虚血条件下において虚血脳の神経機能を改善させるものと思われる.
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Research Products
(2 results)