1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61480491
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
高木 興氏 長崎大, 歯学部, 教授 (80005090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 清吾 長崎大学, 歯学部, 助教授 (50153614)
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Keywords | 小学学童永久歯 / う蝕進行率 / フッ化物洗口法 / 予防的経過観察 |
Research Abstract |
昭和60年4月より、小学1〜5年生の381人を対象にフッ化物洗口法(0.05%NaF液,週5回)を開始させ、以来6カ月間隔で、永久歯における初期う蝕の発生とその後の進行状況を観察してきた。今回は昭和61年10月までの18カ月間のデータをもとに、う蝕発生の量の約8割を占めている小窩裂溝部についての分析結果である。 第1回検査時に既に確認されていた初期う蝕(以下、既存う蝕)が、その後、より高度の分類に進行する割合をみた。初め【C_0】であったもののうち、6カ月後,43.2%が【C_1】以上へ進行し、この進行率は少しずつ上昇し、18カ月後で51.9%となっていた。同様に、初め【C_1】であったものの進行率は、6カ月後,14.6%,12カ月後,23.7%,そして18カ月後には43.5%であった。これらの値は、フッ化物洗口を行なっていない条件での過去の報告に比べ低く、発生したう蝕の初期から高度へ進行する時間的推移が相当ゆるやかになっていることが認められた。次に、当初は健全であって、2回目以降の検査で初めて発見したう蝕(以下、新発生う蝕)についても検討した。この場合、【C_0】の進行率は、6カ月後,15.2%,12カ月後,22.7%であり、また、【C_1】の進行率は、6カ月後,17.0%,12カ月後,30.0%であった。これらは前述の既存う蝕の場合に比べ、いっそう低い値となっていた。新発生う蝕の場合の進行率には、う蝕初発時の対象者の年齢による明確な差がみられ、低学年での値は、高く、中・高学年に進むにつれ、段階的に低くなる傾向にあった。また、いったん【C_0】と診断されたう蝕が、次回の検診で健全と判定される例も相当数認められた。この様な例は新発生う蝕の場合に多く、一定期間後、健全の判定に戻った例と、【C_1】以上へ進行した例とが同程度の割合で見られた。 以上の結果より、初期う蝕は、早期に充填することなく、予防的に管理する意義が大きいと考えられた。今後、観察期間を延ばし、より詳細な分析を行なってゆく計画である。
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