1986 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトβグロビン遺伝子の正確な転写開始に必要な蛋白因子とその遺伝子クローニング
Project/Area Number |
61480492
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
安河内 幸雄 医科歯科大, 難治疾患研究所, 教授 (60037398)
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Keywords | HeLa細胞 / ヒトβ-グロビン / 転写 |
Research Abstract |
ヒトβ-グロビン遺伝子の正確な転写開始に関与する蛋白因子を分離・精製するため、我々はHeLa細胞抽出液のカラム・クロマトグラフィーを行なった。フォスフォセルローズカラムで0.25MKClの1.0MNaClの間で溶出する分画(Fr.2)は正確な転写に対する活性をもっていた。上と同じカラムで0.1MKClで通過し、DEAE-セルローズカラムで0.1MKClと0.5MNaClの間で溶出する分画(Fr.1)をFr.2に加えると、活性は非常に上昇した。DEAE-HPLCカラム上、Fr.2は0.1MNaClを通過する分画、0.21M及び0.26MNaClで溶出する分画、合計3つの分画に分かれた。さらにに各分画をそれぞれHPLCゲル濾過にかけ、第1及び第3の分画はそれぞれ2つの分画に分かれた。これら5つの分画(A,B,C,D及びE分画)はそれぞれ52,000、540,000、285,000、700,000及び185,000の分子量領域に活性をもち、お互いに特異的な蛋白であることを示唆している。もし忠実な転写がこれら5つの分画と再合成される時、DEAE-HPLCカラムでさらに精製されたFr.1は転写活性に対して必須となった。以上の結果によりRNAポリメレース【II】に加えて6つの分画がヒトβ-グロビン遺伝子の正確な転写に必要なことが示唆される。 これらの分画はいずれもSDS電気泳動上多数のバンドからなっている。量的にも少ないため完全精製は困難であろう。転写開始に必要な蛋白因子の機能を明らかにするため、またそのクローニングに必要な情報を得るため、各因子に対するモノクロナール抗体の作製を試みる。抗原が均一でないのでスクリーニングを多数しなければならないことが予想される。アッセイ法は簡単で感度が良いものでなければならぬので、現在Gのない合成DNAを持つ鋳型を作製中である。
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