1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61490005
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 秀夫 筑大, 応用生物化学系, 助教授 (40015657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大桃 定洋 筑波大学, 応用生物化学系, 講師 (10015901)
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Keywords | 純粋培養法 / 抗微生物性物質 / バイオリアクター |
Research Abstract |
昭和61年度は、次の二点をメインテーマとして研究を行い、得られた新たな知見と成果は以下の通りである。 1.油溶性の抗微生物性物質に対する防御機能を備えたバイオリアクターの開発とそのメカニズム (1)固定化担体として用いたアルギン酸ゲル中に安価なダイズ油等の植物油を数%乳化混入させ、同時に酵母細胞を固定化して得られるパイオリアクターは、2・オクタノール,トルエン,ベンゼン等の有害有機溶剤だけでなく、油溶性で広範囲の抗菌スペクトルを有する代表的な食品保存料,パラオキシ安息香酸エステル類に対しても防御機能を有することを明らかにした。又、その防御機能は、植物油の種類および濃度により大きく異ることも明らかにした。(2)その防御機能のメカニズムは、種々の検討の結果、次のように推定した。バイオリアクターの外部から拡散進入してくる油溶性の抗微生物性物質は、バイオリアクター中に乳化混入している植物油に多量溶解し、しかも、それらの物質は、表面から内部に向って、乳化植物油中を飽和しつつ移動するために、その拡散進入速度は非常に遅くなり、中心部に達っするまでには数日間要する。従って、その間、バイオリアクター中の細胞の醗酵活動は持続することになる。 2.殺菌工程が不要な純粋培養法の開発 1.で開発したバイオリアクターの内、最適な防御機能を有するひまし油12%を含有したバイオリアクターを用い、Saccharomyces cerevisiaeによるグルコースからのアルコール醗酵を行った。殺菌工程を経ていないグルコース培地(5%)に、パラオキシ安息香酸ブチル0.1%を添加し、フラスコによるくり返えし回分培養を行った。その結果、32時間で4回の正常なくり返えし回分培養に成功し、しかも、その間、雑菌汚染が全く認められなかった。
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