1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61490006
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Research Institution | Institute of Biological Sciences, University of Tsukuba |
Principal Investigator |
原田 宏 筑波大学, 生物科学系, 教授 (90015991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 博 筑波大学, 遺伝子実験センター, 助教授 (00169608)
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Keywords | 花粉培養 / 花粉正常発生 / 飢餓処理 / 蛋白質リン酸化 / タバコ / 半数性不定胚形成 |
Research Abstract |
タバコ(Niootiana tabacum)とマルバタバコ(Niootiana rustica)の未成熟花粉(二核期中期)を0.4Mマユトール液中で単離し, パーユールの密度勾配遠心により均質な花粉仕団を得た. この花粉を0.4Mマユトールを含み炭素源・窒素源を含まない培地で3日間培養(飢餓処理)した後, ガラクトース, グルタミン, アブシジン酸等を含む培地で培養すると細胞分裂が起こり, 他の適当な培地に移植することにより高頻戸で半数性不定胚形成を誘起できた. 一方, 得られた花粉集団をグルタミンを含む培地で直接培養すると正常発生を経て受精能力のある成熟花粉が得られた. 半数性不定胚形成と花粉正常発生の過程で各々特異的に見られる生化学的変化を調査したところ, 蛋白質リン酸化パターンに特徴的な変化が認められた. 半数性不定胚形成初期には四種の蛋白質(a〜d)が特異的にリン酸化され, 一方, 花粉正常発生初期には五種の蛋白質(e〜i)が特異的にリン酸化された. そこで, このような蛋白質リン酸化の違いが半数性不定胚形成あるいは花粉正常発生に特異的な現象か否かを検定するため, 両発生過程に影響を及ぼす各種因子の検索を行うと同時に各種因子の蛋白質リン酸化パターンに及ぼす効果を検討した. その結果, 二核期中期の前後の細胞を用いると不定胚形成は見られずa〜d蛋白質のリン酸化は見られなかった. また, サイトカイニンや高濃度ケルタミンの添加は不定胚形成頻度を減少させ, a〜d蛋白質リン酸化の程度も弱くなる. 逆に, EDTA処理は不定胚形成頻度を増加させ, a〜d蛋白質のリン酸化の程度も強くなった. したがって,a〜d蛋白質のリン酸化は未成熟花粉が正常発生から半数性不定胚形成へと変換する際に重要な役割を果たすと考えられる. a〜d蛋白質は細胞内の顆粒中に存在することから, 今後その機能について検討する予定である.
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[Publications] H.Harada;M.Kyo;J.Imamura: Proc.of Ciba Foundation Symposium No.137″Application of Plant Cell & Tissue Culture″. (1987)
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[Publications] 京正晴;鎌田博監修: "植物組織培養アトラス第1章第3節2″葯,花粉培養″" R&Dプランニング社, 56-73 (1987)