1988 Fiscal Year Annual Research Report
新しい性質を有するポリペプチドの合成とその性質に関する研究
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61490008
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
大谷 正尚 群馬大学, 工業短期大学部, 教授 (50008489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 斗志也 群馬大学, 工業短期大学部, 助教授 (70152014)
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Keywords | ポリペプチド / 多元共重合 / 二次構造 / ORD / CDスペクトル / トリプトファン / 液体クロマトグラフ |
Research Abstract |
トリプトファンが持つ側鎖のインドール核はプロトン授受性と疎水性を兼ね備えていることからそれを含む蛋白質の高次構造に重要な役割を果たしている。以上の理由からトリプトファンを含む高分子量ポリペプチドの合成は有意義と考えこれを行った。合成はN-カルボキシアミノ酸無水物(NCA)法によった。トリプトファンNCAを高純度に合成し、他のNCAと共重合した。その結果L-アラニンとの共重合体は水溶性であった。トリプトファン共重合体はジクロル酢酸で着色沈澱するのでこの溶液粘度を測定することはできないのでゲルクロマトグラフを用いトリス緩衝液を流出液として分子量既知の蛋白質と比較して求めると共に分別も試みた。一方α、-アミノ-n-ラク酸、N-バリン、N-ロイシン等との共重合体は水に不溶であった。ヘキサフルオルイソプロパノール溶液のCDスペクトルからアラニンとの共重合体はコイル、他は、ヘリックス構造であることが分かった。この構造の相違は、インドール核が一方プロトン受容基として、他方は疎水基として働いていることを示す。前年迄に合成した多元共重合体についても高速液体クロマトグラフによりジクロルエタンを流出液として分別を行った結果厳密な条件は必要とするが、可能であることが分かった。 アルギニンを含むポリペプチドを合成するため、N-ベンジルアルギニンNCAの合成を行った。このものは塩酸塩として得られるため、目下脱塩酸の研究を行っているが、収率が低い。そのため塩酸塩のまま重縮合を行い高分子量のポリペプチドを得る方法を研究している。さらにセリン、トレオニン、及びプロリンのNCAも高純度に合成出来たのでそれらを含む共重合ポリペプチドの合成も行う予定である。又、保護基の除去も行っており、それにより水溶性となったものについては、トリス緩衝液によるクロマトで分別を行う。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masanao.OYA;Toshiya.ENDO;Yasuko.IIZUKA: Polymer Journal. 20. 557-564 (1988)
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[Publications] 大谷正尚、飯塚靖子: "新材料シリーズ、アミノ酸ポリマー、合成と応用、"ポリアミノ酸の合成"の項執筆pp36-50" シーエムシー 監修 遠藤剛, 15 (1988)