1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61490014
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
山本 浩之 信大, 繊維学部, 助教授 (60021151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 克彦 信州大学, 繊維学部, 助手 (30092860)
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Keywords | 光応答性高分子 / カチオン性ポリペプチド / ポリリシン / アゾ色素含有ポリペプチド / アゾ色素 / 光異性化 / 誘起円偏光二色性 |
Research Abstract |
各種アゾ芳香族色素の種々の溶媒中での光化学を検討し、可逆的で良好な光応答性を示すアゾ色素と溶媒の組み合わせを見い出したので、その知見を基に活性エステル法およびカルボジイミド法によりカチオン性のポリペプチドであるα-およびε-ポリリシンにアゾ安息香酸を結合させアゾ芳香族含有ポリリシンを合成した。分析によりアゾ色素はほぼ定量的に導入できることが判明したので、次に物理化学的手法を用いて分子量,溶解度,二次構造の決定などアゾ芳香族含有ポリリシンのキャラクタリゼーションを行った。試料への光照射は400W水銀ランプ,干渉フィルターを用い、360nmの近紫外光と460nmの可視光を照射した。光量は両波長共に約2×【10^(19)】光子C【m^(-2)】【S^(-1)】であった。合成したアゾ芳香族含有ポリリシンは紫外光を照射すると色素のアゾ基がトランス→シスへと光異性化し、逆にシス型に可視光を照射するとシス→トランスまたは光定常状態へと可逆的に異性化することが吸収スペクトルの結果から判り、ポリペプチドに結合させた場合にもアゾ色素の光応答性、光反復性はともに良好であった。不斉な環境下では対称構造の分子が円偏光二色性を示す場合があり誘起円偏光二色性と称せられている。アゾ芳香族含有ポリリシンの側鎖色も可視波長域の440nm附近に円二色性を誘起する。この可視部の色素による円二色性帯は光照射前は正の楕円率を示すが、紫外光を照射すると反転し負の楕円率を呈する。この円二色性帯の光応答性も良好で可逆的である。従来、骨格構造がα-ヘリックス構造のポリペプチドの光化学が研究されてたが、β-構造やランダムコイル構造のポリペプチド,オリゴペプチドも良好な光応答性材料であることが判った。 研究結果の一部を国内の学会で口頭で、外国専門雑誌に論文として数報発表した。
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[Publications] Hiroyuki Yamamoto: Macromolecules. 19. 943-944 (1986)
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[Publications] Hiroyuki Yamamoto: Polymer Photochemistry. 7. 349-358 (1986)
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[Publications] Hiroyuki Yamamoto: Colloid & Polymer Science. 264. 779-785 (1986)
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[Publications] Hiroyuki Yamamoto: Macromolecules. 19. 2472-2476 (1986)