1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61490016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米田 満樹 京大, 理学部, 教授 (50017183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 好彦 京都大学, 理学部, 助手 (60135514)
久保田 洋 京都大学, 理学部, 助手 (40115837)
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Keywords | 細胞質周期 / 発生開始 / 核分裂 / 細胞質因子 / ウニ |
Research Abstract |
受精によってウニ・ヒトデの卵に入った精子核から精子単星が生じて両核が融合し、双星が生じ、核膜が消えて核分裂に入る一連の過程のタイミングを、雄性発生の場合について調べた。ガラスの針で二分してえたタコノマクラの無核卵片を媒精したとき、精子単星の出現(6〜7分)と精子核の前核化(10〜12分)は正常卵の場合と同じであった。精子双星も正常卵と同じ頃に観察された。正常卵との唯一の違いは、精子双星の時期が永く続いて、核膜消失がおくれることであった。このおくれは最小5分から最大20分に及んだ。核分裂のその後の進行は正常卵と同じテンポで進み、第3分裂まで観察した限りで、初めのおくれがそのまま持ち越された。雄性発生におけるこのおくれは、正常発生においてもやはり核膜消失による細胞周期の開始に、何らかのトリガーを必要としていることを示す。未受精の無核卵片をCaイオノフォアで付活し、10分以上たってから改めて媒精し、付活と精子進入の時期を人為的にずらすと、前核化までの時間が顕著におくれた。従って、精子の前核化をもたらす細胞質因子は、付活後一時的にせよ減少または消失すると思われる。なお正常卵に見られる核融合の時期は、卵によってまちまちであり、人為的に核融合を更に20分ほどおくらせた場合でも、その後の核膜消失に初まる細胞周期の開始はおくれなかった。雄性発生の場合には核融合という過程自体が存在しないから、融合が発生進行のトリガーであることはない。 雄性発生のおくれがまちまちで、また高々20分程度であるところから、それがハプロイドの精子核が1回余分のDNA複製をするためのおくれとは考えにくい、何が核膜消失のトリガーであるかは、次の問題である。
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[Publications] M.Yoneda: Methods in Cell Biology. 27. 421-434 (1986)
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[Publications] Y.Hiramoto;M.Yoneda: Methods in Cell Biology. 27. 443-456 (1986)
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[Publications] H.Y.Kubota;Y.Yoshimoto;M.Yoneda;Y.Hiramoto: Develop.Biol.119. 129-136 (1987)
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[Publications] Y.K.Maruyama: J.Exp.Zool.238. 241-248 (1986)
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[Publications] Y.K.Maruyama;K.Yamamoto;I.Mita-Miyazawa;T.Kominami;S.Nemoto: Methods in Cell Biology. 27. 325-344 (1986)