1988 Fiscal Year Annual Research Report
弁の構造改善による植込み型完全人工心臓の耐久性向上を目的とした人工弁の開発
Project/Area Number |
61490025
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
浜中 喜晴 広島大学, 医学部, 助手 (20156409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶原 博毅 広島大学, 医学部, 助教授 (20034184)
福永 信太郎 広島大学, 医学部, 助手 (70112183)
松浦 雄一郎 広島大学, 医学部, 教授 (80190403)
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Keywords | 完全人工心臓 / 人工弁 / 水撃現象 / 人工弁固定リング / 衝撃緩衝材料 |
Research Abstract |
人工弁固定リングの構造改善により人工弁閉鎖時の水撃現象による異常高圧発生の緩和に効果があると考えられたことより、人工弁固定リングに衝撃緩衝材料を用いる実験モデル(人工弁固定リングモデル)を作製した。この人工弁固定リングモデルを使用して、挿入する材料による水撃現象の緩和効果を比較検討した。仔牛用空気駆動式ダイアフラム型入工心臓の流入側に人工弁固定リングモデルを挿入し、人工弁の前後に先端圧測定用トランスデューサーをそれぞれ設置し、ドノバン型体外模擬循環回路を用いて、各種条件下における水撃現象により発生する弁前後の瞬間的な圧力変動を求め、次いでこれを差動増幅器を介して直接圧差を求め、ポリグラフに記録した。衝撃緩衝材料を用いないで人工弁を固定したものをコントロールとし、シリコンを用いたもの、および特殊な衝撃緩衝材料を用いたものと比較した。人工心臓の駆動数80/分、駆動圧175mmHgにおいて収縮期比(%systole)の変化による弁前後の圧差の変化を測定した。人工弁閉鎖時の弁前後の圧差の最大値は収縮期比の増加に伴って増加し、最大解放位から急激に閉鎖される時点で最大となった。衝撃緩衝材料の大きさがリングの幅2.2cmで厚さ3mmのモデルでは、弁前後の圧較差の最大値(Maximum Pressure Gradient;MPG)は、コントロールで最も大きく260mmHgで、次いでシリコンを用いたものが250mmHg、特殊衝撃緩衝材料を用いたものでは230mmHgであり、%systoleの変化に伴う圧差の変化も特殊衝撃緩衝材料を用いたものでは全体に低値を示した。以上より人工弁固定リングに衝撃緩衝材料を用いた場合には弁閉鎖時の水撃現象による弁前後の圧較差の減少が認められることがあきらかとなった。現在までのところ、人工弁固定リングの大きさ、形状、固定方法が、実際の人工心臓に固定するには問題が残されており、引き続き研究を行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)