1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61510036
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
河井 芳文 東京学芸大, 教育学部, 教授 (20014714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間宮 武 財団法人田中教育研究所, 所長 (10017741)
杉原 隆 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (60015724)
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Keywords | 知能 / 知能発達 / 発達の前傾現象 / 知能検査 / WISC |
Research Abstract |
過去、およそ一世紀の間、ほぼコンスタントに継続してきたと考えられるいわゆる発達の前傾現象(加速現象)の加速度が、取り分け第二次大戦後顕著になり、各方面から注目されてきたが、ごく最近になって、その前傾現象の停滞、ないしシーリングも指摘されるようになった。ただし、そこで取り上げられてきた前傾現象は、もっぱら体位や身体成熟等の身体的発達の側面に限られ、精神発達面の前傾現象については、それを議論するに必要な客観的手掛りが不足してきた。それは、精神的特性を客観的に測定し、長期の比較を可能にするデータが欠如していたからである。 本研究では、精神的側面の中、知能発達の前傾現象を、比較的長期にわたる資料について検討した。即ち、幼児の知能発達の前傾現象を、WISC知能検査を中心に分析した。データは、昭和34年〜60年の27年間に、首都圏において集積された約12000名に関するものである。 主たる結果は、 1)その期間の幼児の知能(測定知能)は、ゆっくりではあるが、なおほぼ一貫して上昇傾向を示す。 2)その上昇傾向は、精神年齢に換算して、.158月/年(年間約5日)程度の増加率であった。 3)さらに、知能の内容に関して前傾現象の逐年的変化を見るべく、項目に多次元解析を施し、3因子を得た。それらは、動作性因子、言詰性因子、及び、数因子と解釈された。 4)それらの因子毎に、前傾現象の逐年的変化を分析すると、最も変化勾配の大きいものは、動作性因子であり、他の二因子には、有意な前傾現象を指摘できなかった。
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