1986 Fiscal Year Annual Research Report
発達心理学及び小児神経学的見地を統合した乳児期の情緒と行動制御に関する研究
Project/Area Number |
61510046
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
古澤 頼雄 神戸大, 教育学部, 教授 (00060632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白瀧 貞昭 神戸大学, 医学部, 講師 (90107970)
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Keywords | 情緒発達 / 行動制御 / ハイリスク児 / 母子相互交渉 |
Research Abstract |
1.当該年度においては、乳児の情緒と行動制御の先駆的状態を示る胎児性神経行動的運動性に注目し、母子相互交渉の有無によってそれがどのような変化を示すかを検討してきた。 2.ハイリスク乳児4例とローリスク乳児7例についての資料が収集された。 3.資料は対象児の出生直後より2-4週ごとに一人でいる場面の長時間記録と母子交渉場面の3分間間記録をビデオによって得た。それぞれの対象児が寝返りをうてるようになるまで継続的に資料を収集した。得られた資料のうち、対象児が活動的な覚醒状態にあり、しかも仰臥位にある時間だけを分析することとし、乳児の凝視、乳児の上腕の動き、母親の話しかけ、母親の乳児への接触などに注目してそれぞれの関連性を検討した。 4.結果は次のように要約される。 (1)両群の対象児ともに母親への凝視は生後一ケ月から生起するが、母親を凝視している際の対象児の上腕の運動はローリスク児よりもハイリスク児の場合により活発であるといえる。 (2)特に意図性を伴っていると判断される運動は生後数週においては両群ともに見られない。 (3)上腕にみられる上下運動は間欠的に現れる瞬間的な停止を伴う運動にかわり、さらには、いたって円滑な運動へと移行する。この過程は両群の対象児において同様に見られている。 (4)母親の働きかけについてみると、ハイリスク児の母親の方が子どもに対してよりイニシアティブを取るように行動し、ローリスク児の母親の方が子どもと同調するように行動する傾向が見られた。
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