1986 Fiscal Year Annual Research Report
成人期から高齢期にわたる「生きがい」意識に関する生涯発達心理学的研究
Project/Area Number |
61510051
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
杉山 善朗 札幌医大, 医学部, 教授 (50045332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 豪 札幌医科大学, 心理学教室, 助手 (90150557)
中村 浩 札幌医科大学, 心理学教室, 助手 (20136956)
竹川 忠男 札幌医科大学, 心理学教室, 助教授 (50045366)
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Keywords | 生き方の質(Quality of life,QOL) / 死生観の発達 / 「死」との心理的距離 / 「生」への肯定的態度と否定的態度 / 死生観の因子分析 |
Research Abstract |
当該課題研究の一部として、生き方の質(QOL)と死生観の発達に関連して、無作為に抽出された65歳以上生存高齢者204名、すでに死亡した高齢者の遺族203名に対し面接調査を実施した。1.生存者本人においては、現実の「生」に深く根ざした日常生活を営んでいる高齢者、すなわち配偶者が生存しており、趣味を持っている高齢者は、「死」との心理的距離が「生」との距離に比べてまだまだ遠く、現実の「生」に対し肯定的であった。反対にこれらの条件を満たしていない高齢者は、「生」に対して否定的ないし悲観的であり、「死」との心理的距離が近く、「死」を情緒的に取り入れる傾向が強いようにみえた。2.「生活費自立型」の高齢者は、上述の群と、「依存型」は後者の群と類似の死生観をもつようにみえた。3.「死」の受容的態度の発達に関連する条件として、最後にみとってもらいたい人がどのような人であるかという条件が大きく影響することが知られた。4.故人の死亡前にさまざまな異常行動がみられたときは、それらが日常家族関係の回避や疎遠化,病院スタッフとの関係不良,過去の人生への後悔そして死への諦念と死後の気遣いと深く関連していることがわかった。同様に、故人の生前の人がらもまた「死生観」と強い関連性を持っていることが知られた。以上の事実から、生き方や人がらが良質であるときは良質の「死生観」を、それらが不良であるときは不良な「死生観」とつながるものであることが示され、いわゆる「生命の質(guality of life)」が「死生観」を規定する重要な要因であることが考えられた。4.因子分析法によって「死生観」の心理構造の分析が行われた。。その結果、生存高齢者群においては、「生命の質と死の受容」因子が基本的な因子として抽出され、他に「人生についての充足観-不満感」因子と「疾病予後についての不安」因子と仮りに名づけた合計三個が主要なものとして導かれた。
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[Publications] 杉山善朗,竹川忠男,佐藤豪,中村浩,浦沢喜一: 社会老年学. 23. 44-49 (1986)
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[Publications] 杉山善朗,方波見康雄,中野修,阿部一男,竹川忠男,中村浩,佐藤豪: 社会老年学. 24. 52-66 (1986)
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[Publications] 杉山善朗,中村浩,斉藤和雄,佐藤豪,竹川忠男: 老年社会科学. 8. 161-176 (1986)
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[Publications] 杉山善朗,竹川忠男,中村浩,佐藤豪,伊藤雅江: 札幌医科大学人文自然科学紀要. 27. 1-11 (1986)
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[Publications] 杉山善朗: 心理学評論. 27. 317-330 (1984)
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[Publications] 杉山善朗,竹川忠男,佐藤豪,中村浩,浦沢喜一,佐藤保則: 老年社会科学. 7. 122-136 (1985)
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[Publications] 杉山善朗 著,飯尾正宏,河野博臣,河野友信 編: "末期癌の医療 "癌患者の心理的プロセス"" 金原出版株式会社, 10 (1986)
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[Publications] 杉山善朗 著,飯尾正宏,河野博臣,河野友信 編: "末期癌の医療 "治療関係の問題"" 金原出版株式会社, 10 (1986)