1986 Fiscal Year Annual Research Report
電気皮膚刺激による知覚印象の推移とその精神物理学的特性
Project/Area Number |
61510054
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
太城 敬良 阪市大, 文学部, 助教授 (00047250)
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Keywords | 皮膚感覚 / 皮膚知覚 / 電気皮膚刺激 / 精神物理学関数 / ベキ関数 / ベキ指数 |
Research Abstract |
電気皮膚刺激の知覚的特性に関して、知覚印象の定性的側面からと、定量的側面からの検討を加えた。 1.主に60Hzの周波数を持つ矩形波繰り返し刺激を使用し以下の結果を得た。1)電流変化に伴い、単パルス刺激においてと同様に、システィマテックに定性的知覚印象が推移する。2)定性的知覚印象とは、(1)そっと皮膚を撫でられた感じ。(2)皮膚の表面を針状の物でチクチク刺された感じ。(3)腕の深部へずしっと重りを加えた感じ。(4)かるい痙攣。(5)腕の深部で強く引きつる感じで、しびれを伴う。の5種類に分類される。3)(4)(5)が高頻度であり、重ね合わせると電流強度に従い単調に増大する。また、感じられる部位が、手の平や、第一指に渡る広がりを持つ。4)(1)(2)(3)は単パルス時に類似し、電極部位における瞬間的印象であった。5)刺激部位は、手首における2ケ所では、基本的差異はない。以上の結果より、電流値の増大に従い皮膚感覚は触・圧覚より刺痛に移り、最後に深部圧へと変化するABC感覚神経系のかかわりによる知見に加え、運動性の神経系をも考慮して新たな実験への発展の必要が示された。 2.知覚印象の定量的側面では単パルス及び繰り返しパルス刺激による実験がなされた。マグニチュード推定によるベキ関数への適合は良い。単パルスに比べ、繰り返し刺激は、ベキ指数が高めに得られる。また、単パルス低刺激条件でベキ指数が高く、試行により感度が低下し、ベキ指数が高くなる。さらに、試行間隔を短かくすると高くなる傾向が見い出された。これらは、神経系の順応の機構を問題にして、ベキ指数の高低を調べていく必要を示唆する。一方、当初問題にしていた、教示の効果、個人差、性差等は傾向として認められるもわずかであり、"痛(いたみ)"によりベキ指数の高くなるとの観点は考えなおすべきである。さらに刺激変数をおさえる方向で、定性的印象の推移と神経系の機能の観点からベキ指数の変化を調べる必要を示した。
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[Publications] A.Higashiyama: Japanese Psychological Research. (1987)
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[Publications] 太城敬良: 関西心理学会第98回大会発表論文集. 15- (1986)
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[Publications] 東山篤規: 第1回生体・生理工学シンポジウム論文集. 73-76 (1986)