1988 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児および弱視児における奥行・距離知覚の視空間の構造化の過程
Project/Area Number |
61510059
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
鳥居 登志子 日本女子大学, 児童研究所, 研究員 (70060671)
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Keywords | 奥行知覚 / 弱視 / 距離知覚 / 大きさの知覚 / 幼児の知覚発達 |
Research Abstract |
1.奥行の相対弁別:(1)斜視を伴う弱視児の深径覚計による奥行弁別閾値(Δd)は晴眼成人に比べ単眼・両眼視いずれの条件下でも高く, 両眼視のときその差は大きくなる. 例えば, 観察距離2m(上昇系列)でのΔdは晴眼成人が8mm未満なのに対し弱視児では2cm〜6cmである. しかし奥行実験の継続によりその値を若干低下することが観察距離の長い場合に認められた. (2)床上に置いた2対象(テニスボール)の前方向に関する遠近弁別に必要な遠近差は弱視児(KI)の場合, 当初は1mまでの距離では1cm, 3〜6mまでは3cm, 8mでは5cmだが18m遠のいても10cmで十分というように必ずしも距離と直線的に対応していない. 晴眼の成人では7〜8mまでが1cmという結果とは大きな差である. だが, 実験の進行に伴い, 2mまで1cmの奥行差で十分と近距離の方から構造の変化が生じてきた. (3)視方向による遠近弁別の精度差を調べた強度弱視児では, 同じ奥行差で最も遠方まで遠近弁別が可能な視方向は前方向, 次いで上方向, 下方向の順となる. 晴眼成人では3方向に大差がないか或いは上方向が前, 下方向より難しいのと異った傾向である. 強度弱視の下方向弁別が肋木に昇っての弁別状況が不安定な結果を招来した可能性もあり吟味の必要がある. 2.距離の推定:(1)弱視児(KI)では第1回の実験で実寸より過大視したが, メヂャー上で1mの長さを教示した後の距離推定精度E=(d-D)/Dは-0.2〜0.2の範囲の値を示した. 一方, KHは実寸より短めに推定し, 1mの長さを教示された後はE=-0.4〜0.4となったが, 両者とも晴眼成人より精度は低い. 3.距離と対象の大きさの関係については, 大きさが恒常に保たれる距離(δ)は, 晴眼者・児, 弱視児, 強度弱視児いずれも1mで大差ない. 視覚事件の差は変数Aに現われ, 強度弱視児では, 0.2〜4.5, 弱視児では1.5〜9.0, 晴眼児が15〜30, 晴眼成人では30となっている.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 望月登志子: 心理学評論. 30. 49-84 (1987)
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[Publications] 望月登志子: 日本女子大学紀要家政学部. 34. (1988)
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[Publications] 望月登志子: 日本心理学会大会発表論文集. 51. 51 (1987)
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[Publications] Toshiko,Mochizuki: Biennial Meeting of IXth International Society for the study of Behavioral Development. 9. 270 (1987)
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[Publications] 望月登志子: "新編感覚・知覚心理学ハンドブック" 誠信書房, (1988)
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[Publications] 望月登志子: "現代子ども大事典" 中央法規, 5 (1988)