1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61510071
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
宮下 彰夫 神経科学総研, その他, 研究員 (70100146)
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Keywords | 睡眠 / レム睡眠リズム / 中途覚醒法 / 入眠時レム期 / 睡眠依存仮説 / 睡眠非依存仮説 / リセット仮説 |
Research Abstract |
さまざまな生体リズムの中でも、ヒトの睡眠時におけるレム睡眠の周期的出現は、顕著なウルトラディアン・リズムとして確認されている。このレム睡眠リズムの機序を検討するために、夜間睡眠を中断させるという、中途覚醒法で、中断前と中断後でのレム睡眠リズムの連続性あるいは非連続性、中途覚醒時の行動的・生理的指標に及ぼすレム睡眠リズムの影響を検討した。 61年度は、従来行ってきた実験パラダイムと同様な方法で、実験データを追加した。その実験方法の概略は、睡眠ポリグラムおよび他の生理指標を連続記録しながら、夜間睡眠をとらせ、実験夜においては、第1睡眠周期を終了し、第2睡眠周期の開始20分で強制覚醒させた。中途覚醒時間は、20分から120分までの間で操作した。 これらの実験の結果、次の諸点が明らかになった。 1.中途覚醒時間の長短にかかわらず、再入眠後のレム睡眠の出現は次の2種に分岐した。第一は60分前後のノンレム睡眠の経過後にレム睡眠が出現するという通常のレム睡眠出現経過を示すもの。第二は、再入眠後25分以内にレム睡眠が出現する、いわゆる入眠時レム期(SOREMP)を示すものである。このSOREMPの出現確率は中途覚醒時間が40〜90分の時に大きかった。 2.再入眠後のレム睡眠リズムは、第一のものも第二のものも、中断前のレム睡眠リズムとは連続性がなく、また中途覚醒をしなかった基準夜のレム睡眠リズムとも対応しなかった。このことから、レム睡眠リズムの睡眠依存仮説も、睡眠非依存仮説も否定され、第一のレム睡眠経過はリセット仮説を支持するものであった。またSOREMPは、全く別の考え方で解釈すべきことを示唆しした。以上の諸点を中心にした研究成果は、雑誌論文として投稿中である。
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