1986 Fiscal Year Annual Research Report
ダウン症児の構音特性に立脚した,コミュニケーション方法の開発に関する研究
Project/Area Number |
61510119
|
Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
松本 治雄 兵庫教大, 学校教育学部, 教授 (70000289)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 俊郎 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (80158112)
|
Keywords | ダウン症児 / 構音特徴 / 発語明瞭度 / 了解度 / 聞き取り調査 / 語内位置 |
Research Abstract |
全国4地区において精神年齢3-5歳のダウン症児の音声を採取した。またダウン症児の精神年齢に相当する暦年齢の健常児についても音声を採取し比較検討してダウン症児の構音特徴を抽出した。ダウン症児の構音特徴として得られた知見は以下の通りである。 1.単音節レベルの構音は比較的明瞭で発語明瞭度は高い。 2.音節が増すと共に構音のくずれが顕著になる。3音節を過ぎると極端にくずれの傾向が増し、音節自体が曖昧になってしまい発語明瞭度が低下する。 3.語内位置で発語明瞭度を見ると「語尾音」が最も高く次いで「語中音」「語頭音」が最も低くなった。 4.音声全体のパタンとしての特徴は比較的良く捉え表現しようとする。 5.発語にともなって身振り表現をすることが多く、音声言語の補助的な役割をしている。 また、ダウン症児の音声の特徴からタイプ分けをすると、早口タイプ・省略タイプ・置換タイプ・歪タイプ・音節不一致タイプの5タイプになった。これらのタイプから典型的なダウン症児を抽出し聞き取り調査用の音声サンプルを作成した。 聞き取り調査はダウン症児の養育者群,教育担当者群,ダウン症児との接触経験のない一般人群の3群について行い、了解度を比較した。その結果ダウン症児と最も接触密度の濃い養育者群が最も了解度が高く、次いで教育担当者群,一般人群の順になった。また一般人群に内容や用途を表すヒントまたは「語頭音」をヒントとして与えるとその了解度は飛躍的に向上した。今後これらの知見を手がかりにダウン症児の構音指導のあり方を考えて行きたい。
|
-
[Publications] 羽田規夫,松本治雄,他: 日本特殊教育学会第24回大会発表論文集. 24. 180-181 (1986)
-
[Publications] 研常幸,松本治雄,他: 日本特殊教育学会第24回大会発表論文集. 24. 182-183 (1986)
-
[Publications] 松本治雄: 特殊教育学研究. 24(3). 73-77 (1986)