1986 Fiscal Year Annual Research Report
発達遅滞児の非言語的コミュニケーション行動の発達と言語獲得過程に関する研究
Project/Area Number |
61510136
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Research Institution | National Institute of Special Needs Education |
Principal Investigator |
大石 益男 特殊研, その他, その他 (10168859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
肥後 功一 国立特殊教育総合研究所, 聴覚言語障害教育研究部, 研究員 (00183575)
藤島 省太 国立特殊教育総合研究所, 聴覚言語障害教育研究部, 研究員 (90165374)
長澤 泰子 国立特殊教育総合研究所, 聴覚言語障害教育研究部, 研究室長 (10000267)
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Keywords | 言語獲得 / 非言語的コミュニケーション行動 / 儀式化 |
Research Abstract |
音声言語が未成立な精神薄弱幼児5例の、母親及び指導者との相互交渉場面の録画からコミュニケーション行動の成立過程を分析した。具体的には、継時的データの中から、音声言語に変化したコミュニケーション行動を抽出し、その行動をさかのぼるという方法で整理し、その変容過程での法則、原理を抽象したいと考えている。2年計画の1年次であり、現在は、コミュニケーション行動の抽出、整理という段階である。結論の方向として次のことがらが示唆されている。 1、音声言語に変化したコミュニケーション行動の多くは、始め単純な構造であるが、他者との間でくり返されるうちに新しいやりとりが加わり複雑化していき、最後には音声言語のみという単純な構造にかえる。したがって、新しいやりとりが加わり、慣習化、儀式化されていく過程が大切である。 2、新しいやりとりが付加する過程では、母親、及び指導者の指示的な援助が有効であるが、後には、子ども主導で複雑化していく傾向が見られる。 3、音声言語に変化するコミュニケーション行動の多くは、その出現以前に、非言語的方法で成立しており、くり返される過程で音声化する場面が多く見られること。 4、上記の非言語的コミュニケーション行動の成立過程では、子どもの手と他者の手、視線、のようなやりとりが大きな役割を果していると考えられる。 5、成立したコミュニケーション行動が音声言語に変化していくためには、同じ場面のくり返しが不可欠で、その点から、日常生活の場面が有効と考えられる。そのため、今後は、遊び場面に限定せず、日常生活への着眼が必要と考えられる。 成立したコミュニケーション行動と言語獲得との関係について、次年度に分析を深める。
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Research Products
(2 results)