1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61510180
|
Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
中村 哲夫 神戸学院大, 教養部, 教授 (20092752)
|
Keywords | 中国歴史人口学 / スキナー理論 / 中心市場機構 / 都鄙関係 |
Research Abstract |
基礎作業としては、各種の文献目録より中国歴史人口学に関する従来の研究文献目録を作成するためのカード化をほぼ終了した。さらに、重要論文について読解を進め、研究史に関する見取図の作成に移行した。この作業のなかで判明した問題は、中国の近代史の部分における研究の空白を埋める必要性である。この点では、台湾における研究が、その全体像の形成の途上にあるが有用な調査資料を整理しつつある。 分析理論として、当初、かなり期待度の高いものと想定していたG.W.Skninnerの地域分析都鄙関係理論について,今年、国際的な場で、再検討をせまる重要な試験研究がなされた。その文献は、Barbara SandsとRamon H.MyersによるThe Spatial Approach to Chinese History:A Test,Jousnal of Asian Studies,Vol.XLV,No.4,1986.である。この論文により、現在、焦眉の課題である都鄙間人口分布の問題、あるいは、小城鎮問題につき、Skinner理論を大きく修正するべき局面が生れている。Skinner理論の重要性は、前近代から近代さらには現代から未来へと分析し展望をたてる可能性をもつ唯一の分析理論である。しかし、日本では石田浩が一つの疑問を呈示しており、筆者もスキナー理論の修正にとりくんでおり、この間の研究を通じて、スキナーの重視するStandard Marketing Communityよりも次元の高い、中心市場機構に統合される農村社会の把握の仕方の優位性を論証し、かつ、スキナーのいうマクロ・リージョン論に対し、水系地域分析を重視する方向へと展開すべきことを発表しはじめたところである。これらの試みは、総人口の問題から地域内分布,都市史,農村史研究へと比重を移す目的のもとに実行しているものである。
|
-
[Publications] 中村哲夫: 中国研究所編『中国研究』(季刊). 7. (1987)
-
[Publications] 中村哲夫: 関西大学経済学論集. 37-1. (1987)
-
[Publications] 中村哲夫: 神戸大学史学会論『史学年報』. 2. (1987)