1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61510242
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
新保 雅浩 筑大, 現代語・現代文化学系, 講師 (20081094)
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Keywords | 古高ドイツ語 / 共時的研究 / 歴史言語学 / ヴァレンツ理論 / 基本構造 / 動詞 / シンタックス / 言語理論 |
Research Abstract |
1.現代言語理論に基づく古高ドイツ語研究の代表的研究者A.Greule教授と連絡をとり、本研究に関するすべての資料を入手し、その成果を吟味した結果、古高ドイツ語のシンタックスを従来の通時的観点からではなく、共時的観点から考察する場合、現代言語理論の中でヴァレンツ理論が研究方法として最適であることを確認した。ヴァレンツ理論は主としてHelligとHeringerの理論に基づくことにした。 2.研究の対象となる古高ドイツ語のテキストは、最も条件の整っていると判断した史料として、「オトフリートの福音書」を選んだ。テキストの詳読と資料整理に際してはP.Piper,J.Kelle,O.Fxdmaunの研究書が有益であった。 3.「オトフリートの福音書」に関してはすでに代表者が大型コンピュータによってデータベースとコンコーダンツを作成してあるが、今回さらに詳しい情報をデータベースに付加し、新らしいコンコーダンツも作成した。 4.コンピュータを利用して、テキストに現われるすべての動詞の用例を収集し、分類した。すなわちヴァレンツ理論に基づいて動詞を中心に文を分析していくのである。 5.頻復数の高い動詞に関してヴァレンツ理論を応用してその結合価を調査した。調査の14段階の操作手順については詳細を「古高ドイツ語と【Valem-2】(その2)にて述べてある。すなわち(1)文の構成要素であるSyitagmaに文を分解する。(2)各Syutagmaを比較する。(3)動詞の結合価を統語論的、意味論的に考察する。(4)ヴァレンツ辞典として動詞についての情報を記載する。 6.本研究では従来とは異なり、ヴァレンツ理論に基づいて共持的観点から古高ドイツ語の動詞と他の文章成分との関係を明らかにした。これによって文の基本構造を抽出する手がかりができた。さらに古高ドイツ語の他のテキストに関しても今回の方法を適用したい。
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Research Products
(1 results)