1987 Fiscal Year Final Research Report Summary
日本人の英語母音発音習得上の困難性の音響分析による解明-主として母音の長短と二重母音
Project/Area Number |
61510249
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
言語学(含音声学)
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Research Institution | Toyoko Gakuen Women's College |
Principal Investigator |
倍賞 和子 東横学園女子短期大学, 英語英文学科, 助教授 (90113290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤崎 博也 東京大学, 工学部, 教授 (80010776)
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Project Period (FY) |
1986 – 1987
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Keywords | 母音の長さ / 長母音 / 短母音 / 二重母音 / 無声子音の前の母音 / 有声子音の前の母音 / 促音的発音 / 撥音的発声 / 英語の母音 / 母音の波形 |
Research Abstract |
本研究は, 日本人学習者の英語発音習得上の困難性の中で, 英語母音について日本人学習者の発音がnativeの発音とどう違うかを比較によって明かにし, 発音指導法の改善の根拠とすることを目的としている. 昨年度に続き今年度は主としいわゆる長母音と二重母音を対象とした. 1.発音素材は, 音声環境p-t, p-d, p-無声のものに関しては昨年すでに収録したものがあったが, 違う環境のものを使用することの適否を調べるためにp-s, k-t等にある単語も選び素材として収録. 2.1で作成した分析試料をコンピュータによって波形を取り, その図形上の子音, 母音, 無音の部分を測定することによって時間を割だした. 3.二重母音の前部から後部への移り変りを明らかに見るため, コンピュータによってスペクトログラフを取り, フォルマントの比較によりnativeと日本人学習者との違いを明らかにした. これらの分析と比較研究から次のことが明らかになった. いわゆる長母音, 二重母音と短母音を比較した場合, 1).CVCという構造の単語において子音の始まりから後の子音の始まりまでの持続時間はnativeと日本人学習者において有意差はない. 2).有声部分だけについては, 日本人学習者はいわゆる長母音, 二重母音が長いが, nativeは短母音と余り違いがない. 日本人学習者の内良い発音の代表者はnativeに近い. 3).日本人学習者の短母音の発音では有声部分と後続子音の間の無音の部分が長いが, それは日本語の促音の発音の影響らしい. 4).同様に鼻音の前の母音の長さに関し, 日本人の発音に撥音の影響が見られる. 5).後の子音が無声の場合より有声の場合長くなることは日本人学習者にも見られるが, 二重母音の前部から後部への移り変わり方が明らかにnativeと違う. 無声子音の前で, nativeは速く移るのに対し, 日本人の悪い発音の代表者では遅い.
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[Publications] 倍賞 和子: 東横学園女子短期大学紀要. 22. 13-19 (1987)
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[Publications] 倍賞 和子: 東横学園女子短期大学紀要. 23. (1988)
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[Publications] 倍賞 和子: 語学ラボラトリー学会全国大会(Language Laboratory). 24. (1988)
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[Publications] 倍賞 和子: 日本音声学会全国大学(音声学会会報). (1988)