1986 Fiscal Year Annual Research Report
国際取引法統一活動の最近の傾向とウィーン統一売買法(1980年国連条約)の意義
Project/Area Number |
61520013
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
曽野 和明 北海道大学, 法学部, 教授 (40002258)
|
Keywords | ウィーン統一売買法 / 国連国際売買条約 / UNCITRAL / 私法統一 / 国際的法統一 / 国際売買 / 国際取引法 |
Research Abstract |
ウィーン統一売買法は、1986年未米、中、伊が提携して批准した結果、必要な批准国数が揃い、1988年1月1日発効が確定した。これに、触発されて、本年中には、特に東西ヨーロッパの多くの国が、批准へ踏み切るものと思われる。米国の場合を眺めても、1983年秋大統領が上院に対して批准勧告を行って以来批准が成立する迄に、乗り越えるべき国内的障害はきわめて多かったが、日本の場合には、法制審議会の日程や、国会での多数の懸案条約の過密な状況からみて、政治的にあまり脚光を浴びない私法統一分野での国際的流れに十分対応できる態勢は、未だ整っていない状況である。同統一法の批准の努力する各国の関係者との接触を通じ、その方法や問題点の実情を把握出来たので、1987年度は、その分析に基づき、この種条約の批准捉進に向けて関係者が配慮すべき諸点を、提言する予定である。また、国際取引に関する各国の法と実務の調和を、条約形式以外の方法で達成しようとの流れは、最近一層顕著となってきている。国際仲裁分野での国際的努力の一端と、その背景にある生々しいゲーム認識の必要性については、わが国の研究態勢及び国際協力の在り方との関係で、既に問題提起を行ったが、コンピュータ・ネット・ワークの急速な発達が、実務界での国際的協同歩調を不可避なものとしつつある結果、国境を知らない取引についての法的対応が、それに見合ったグローバルな次元でなされていない現実への強い反省の動きも急である。したって、その影響をも視野に入れ、広く国際取引をめぐる国際協力の在り方を検討する必要性も生じており、その視点からの分析も始めている。なお、ウィーン統一売買法は、例えば債務不履行と不可抗力、危険負担、瑕疵担保等との関係で、日本法に対し、比較法的にきわめて有益な反省材料を提供している。これについては、北大での比較法講議の教材作成に反映させつつあり、いずれその刊行を考えている。
|
-
[Publications] 曽野和明: 法の支配. 68. 45-56 (1986)
-
[Publications] 曽野和明: 法とコンピュータ. 5. (1987)
-
[Publications] 曽野和明: 金融情報システム. 32. (1987)
-
[Publications] 曽野和明: ジュリスト. (1987)
-
[Publications] Bonell & Bianca (eds.): "Commentary on the Vienna SaIes Convention." Kluwer, (1987)