1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61530043
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西田 美昭 東大, 社会科学研究所, 助教授 (00017542)
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Keywords | 戦後改革 / 地域経済 / 農民運動 |
Research Abstract |
1.本研究の目的は、戦時体制期から戦後改革期にかけて激変する地域経済の実態を総体的かつ段階的に把えることにある。本年度はフィールドとして設定した埼玉県の旧桜井村・旧増林村・横瀬町・新潟県の旧坂井輪村・弥彦村の行政文書の収集・分析を行い、その結果、従来考えられていた以上に農地委員などの農地改革関係者と食糧調整委員などの食糧問題関係者の密接な結びつきがあきらかになりつつあり、食糧事情の悪化という事態の中で農地改革が遂行しえた根拠について新たな視角から解明しつつある。 2.当時の農村情勢について、埼玉県議会図書館所蔵の『埼玉新聞』から、関係記事約3000点を収集し分析したが、地域によりまた時期により記事内容に大きな差が認められるので、その意味を農地改革の進行状況・食糧事情の変化・農家経済の変化とかかわらせて確定する方向で作業を進めた。 3.埼玉県分の「農家経済調査」の分析については、昭和23年までは京大農業簿記研究施設所蔵の原票から、また昭和24・25・26年度については埼玉県農林統計情報事務所所蔵の原票から、地域別・農家類型別に分析しつつあり、農村情勢の変化の基礎に農家経済の変化がいかに対応していたかを確定する作業を進めた。 〈来年度の計画〉 1.2.3の作業をさらに進めるとともに、関係者からのヒアリングを行い、農民運動の爆発的高揚とその急速な衰退という戦後改革期の農民運動の特徴的動向を地域経済の性格変とかかわらせて位置づけ、研究課題についてのまとめを行う。
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