1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61540002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 昇 北海道大学, 理学部, 教授 (80025296)
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Keywords | 常微分方程式系 / リー群 / 幾何構造 |
Research Abstract |
1 常微分方程式系の幾何学的解法の問題において、リー環gを許容する完全積分可能系Eの積分に関するリー及びカルタンによる古典的理論が重要な役割を果す。我々はこの理論の厳密な定式化と証明を与えた。(1)単純リー環gとその極大部分環fとの組(g,f)に対して、リーの微分方程式とそれを基にしてリー演算が定義されるが、このリー演算は本質的にはfの取り方に依らないことを示した。さらにfとして極大放物型部分環をとることによって、リーの微分方程式の望ましい表現を与えた。(2)gを許容する系Eの双対を考察することによって、見通しのよい仕方でこの系の積分はgが単純な場合に帰着できることを示した。(3)単純リー環gを許容する系Eの積分はgに付随するリー演算によって行われることを示した。 2 常微分方程式系の幾何学的解法の問題において、上述のリー・カルタンによる理論と共に、完全積分可能系Eが与えられた多様体M上の横断線型群構造と横断カルタン接続が重要な役割を果す。Qを(M,E)の横断線型群構造gをその無限小自己同型の作るリー環の有限部分とする。このとき、Qに関する適当な条件の下で、構造Qの延長を行い、横断カルタン接続を構成した。さらに、この事実と1での結果を用いて、Eの積分がgの単純成分に付随するリー演算によって行われることを示した。 3 常微分方程式系xの幾何学的研究については既に多くの知見を得ている。特に系xに対して2種類の基本的不変量【K^1】と【HK^2】が与えられることが分っている。(1)xを【K^1】=0を満足する系とし、gをxの無限小自己同型の作るリー環とする。このとき、2での結果を用いて、xの積分がgの単純成分に付随するリー演算によって行われることを示した。(2)【K^1】=0を満足する系xは四次元数多様体と密接に関係することを利用して、このような系の新しい一連の例を与えた。
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