1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61540152
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
野田 明男 愛教大, 教育学部, 助教授 (80024090)
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Keywords | レヴィのブラウン運動 / 一般化されたラドン変換 / 双対ラドン変換 / ガウス過程の標準表現 / 鏡映正値性(OS-正値性) |
Research Abstract |
距離空間(M,d)が適当なL'(H,V)空間(HC【2^M】)に埋め込まれる場合、(M,d)をパラメーター空間にもつレヴィのブラウン運動X={X(χ)jχeM)}は、(H,v)に基づくガウス型彷徨測度W={dW(h);he【H^-】}を用いて、X(χ)=W(Bχ),Bχ={heH;χeh},の形に表現されるという事実を研究の出発点にして、一般化されたラドン変換Rとその双対【R^χ】をそれぞれ、部分集合hCMとBχCH上の積分として導入し積分変換としての基本的性質を明らかにした。次いでこの結果を応用して我々の本来の研究対象であるXの確率論的構造,中でも、カルーネン=ロエーブ展開、及びXが回転不変な確率場(M=【R^n】)という重要な場合に{X(χ);|χ|≦f}から生成される【L^2】(Ω,P)の閉部分空間の構造も解明した。後者はガウス過程の標準表現の理論の多次元パラメーター化への一つの試みとみなしたい。これらの成果を当報告書の研究発表欄に記載した二つの論文にまとめて発表した。この成果に加えて、興味深い(M,d)の具体例をいくつか調べて昭和61年7月京都大学で開催された第5回日ソ確率論シンポジウムにおいて発表した。重要な例を二、三記すと、通常のパラメーター空間【R^n】を球面【S^n】や双曲型空間【H^n】に変更する場合や、鏡映正値性(量子場の理論においてはOS-正値性と呼ばれる)を有する定常ガウス過程(M=【R^1】)等である。当該年度の後半において、この鏡映正値性という重要な概念に一層の興味をいだき定常過程から確率場へのこの概念の適切な拡張を見出すべく努めて若干の結果を得ることができた。とりわけM=【R^2】の場合のレヴィのブラウン運動に対して鏡映に関してその上で正値性が成立するような【R^2】の部分集分をすべて求めることができたので、「レヴィのブラウン運動と鏡映正値性」の題目で昭和62年4月東京大学で開催される日本数学会年会において発表する。
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Research Products
(2 results)