1986 Fiscal Year Annual Research Report
相対的天体プラズマにおける非定常放射輸送の理論的研究
Project/Area Number |
61540175
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高原 文郎 東大, 東京天文台, 助手 (20154891)
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Keywords | 相対論的プラズマ / 高エネルギー天体物理 / アクリション / ブラックホール / クェーサー / 活動的銀河中心核 / 放射輸送 / 電子陽電子対 |
Research Abstract |
クェーサーや活動的銀河中心核において大質量ブラックホールの近傍にアクリションによって生成される相対論的プラズマの性質を調べた。コンプトン散乱や光子光子衝突による電子陽電子対発生などの素過程の数値的取扱法を検討し、これを放射輸送計算コードに組み入れた。放射輸送の取扱いはモンテカルロ法を基本とし、これに一部分布関数及び光子径路の概念を組み入れた独自のものを開発した。このコードを使って、いくつかの典型例について数値シミレーションを行ない、予備的な結果を得るとともに、次年度以降のコードの改良の目標を得た。 主な結果は以下の通りである。初期値としてイオンを高温に加熱した場合、電子加熱と高エネルギー光子発生が引き継き生じ、電子陽電子対が大量に発生し、プラズマの光学的厚さが増大し光子はプラズマ中に閉じこめられる。その後の進化は光子が次第にプラズマから逃げ、プラズマが冷却にることによって進むが、放射スペクトルは約【10^9】Kのウィーン型となる。 プラズマを定常的に加熱した場合のプラズマの構造についても調べた。加熱率が大きいと、イオン温度は約【10^(10)】Kまで減少し、プラズマの圧力は約【10^9】Kのウィーン平衡にある光子と電子陽電子対によってになわれることを発見した。またプラズマの外部にも光学的厚さが1程度の電子陽電子対大気が形成されることがわかった。 この計算コードは衝撃波による粒子加速の問題にも適用できることがわかったのでその問題も同時に調べている。次年度以降はコードの改良とともに様々なパラメータに対する数値計算を行ない、その結果をアクリションプラズマの問題に適用していく予定である。更に力学を計算コードに組みいれることも検討したい。
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[Publications] Fumio Takahara: esa-251 Plasma Astrophysics proceedings of the joint Varenna-Abastumani international school and workshop. 5-15 (1986)
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[Publications] Fumio Takahara: esa-251 Plasma Astrophysics proceedings of the joint Varenna-Abastumai international school and workshop. 253-256 (1986)
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[Publications] Katsuro Morisawa Fumio Takahara: Monthly Notices of the Royal Astronomical Society.
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[Publications] Fumio Takahara: Publications of the Astronomical Society of Japan.