1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61540181
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
沢 武文 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (90111864)
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Keywords | 銀河磁場(BSS磁場) / ダイナモ作用 / 渦状銀河 / 渦状腕 / 密度波 |
Research Abstract |
銀河のガスの乱流による磁場の散逸効果とダイナモ効果による磁場の再生作用を考慮した発電方程式を解くことにより、渦状銀河の磁場の形状とその維持機構を調べてきた。その結果、渦状銀河の多くに観測される双対称渦状磁場(BSS磁場)が、銀河のかなりの領域において準定常的に維持され得ること、この磁場の維持には銀河面の厚みとダイナモ作用の強さが密接に関係していることが得られている。 この理論的に得られたBSS磁場が銀河系に存在するかどうかを調べるため、太陽近傍のパルサーの回転量度と分散量度の観測値を再現する磁場形状を最小二乗法によって求めた。その結果、太陽近傍にもBSS磁場の一部と思われる磁場の反転領域が銀河中心方向、数百パーセクの距離に存在すること、磁場の強さは数μG程度であることなどが得られた。これは、銀河系にもBSS磁場の存在を示唆する結果といえよう。 さらに、このようなBSS磁場が渦状銀河に存在する場合、銀河のガスはBSS磁場によるローレンツ力を受ける。その結果、ガスの運動は円運動から乱される。このガスの運動の乱れにガス自身の自己重力が働けば、ガスはBSS磁場の形状と同様の2本の渦状に凝集する。このガスの凝集領域はBSS磁場と同じ回転速度で回転する。また、通常の渦状銀河のようにガス円盤が重力に対して不安定であると、ガスは磁場の渦状成分の強い部分に集中し、しかも密度のゆらぎは十分大きくなることがわかった。つまり、BSS磁場によって2本のガスの腕が形成されるのである。渦状密度波は多くの波束の集まりであり、一度渦状密度波が形成されても、銀河を数回転する間に分散して消えてしまうと考えられている。BSS磁場が存在すると、絶えずガスを渦状に凝集させ、渦状密度波を維持し続けることができる。これは、BSS磁場が渦状密度波の生成と維持に重要な役割を果たすことを示唆するものである。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Sawa;M.Fujimoto: Publications of the Astronomical Society of Japan. 38. 133-150 (1986)
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[Publications] M.Fujimoto;T.Sawa: Magnetic Fields and Extragalactic Objects,eds.E.Asseo and D.Gressillon,Editions de Physique(Les Ulis Cedex,France). 149-163 (1987)
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[Publications] T.Sawa;M.Fujimoto: Magnetic Fields and Extragalactic Objects,eds.E.Asseo and D.Gressillon,Editions de Physique(Les Ulis Cedex,France). 165-169 (1987)
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[Publications] M.Fujimoto;T.Sawa: Publications of the Astronomical Society of Japan. 39. 375-392 (1987)
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[Publications] H.Lesch;T.Sawa;M.Krause;R.Beck;M.Fujimoto;P.L.Biermann: Astronomy and Astrophysics. 192. 19-23 (1988)
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[Publications] M.Fujimoto;T.Sawa: Geophysical and Astrophysical Fluid Dynamics.