1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61540205
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
玉垣 良三 京大, 理学部, 教授 (30027338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 敏隆 京都大学, 理学部, 助手 (40155099)
安藤 和彦 京都大学, 理学部, 助手 (80111912)
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Keywords | バリオン / クォーク自由度 / 中間子 / スカーミオン / カイラルバッグ / 核力 / 中間子凝縮 / 中性子星 |
Research Abstract |
1.バリオン多体系の研究は、1個のバリオンにおけるクォークと中間子の相補的役割を解明し、2個のバリオン間の相互作用を基礎付けることを出発点とする。本研究では、この面で次の成果をえた。(1)核子とアイソバー△の構造をω中間子を入れたカイラルバック模型を用いて記述し構造のバッグ半径存性を検討し、バッグ内の真空からの寄与が重要であることを示した。スカーム模型をフレーバーSU(3)に拡張し、集団座標の方法による厳密な取扱いで、バリオンの質量を定性的に再現した。(2)バリオン間相互作用における中間領域の引力の成因については、二つのカイラルバッグが接近したとき生ずるバック間のパイオン場の大きい変化がクォークのエネルギ低下を招く等、引力発生の成因について示唆を与える研究が進んだ。 2.П中間子凝縮相を中心部にもつ中性子星は、強相互作用系多体論と極限状況下の天体現象両方にとって興味深い対象である。(1)荷電П凝縮と中性П凝縮が共存する相の発現を、Δと短距離相関を考慮して研究した結果、核密度Poの2倍程度で荷電П凝縮が先行し、(3〜5)Poで共存相に移行することが示された。(2)中性子星の冷却を加速する度合いは、短距離相関による荷電П凝縮下のβ崩壊確率の抑制と【П^゜】凝縮からくる位相因子の減少によって、単純なモデルの計算値より2桁小さくなることが示された。(3)また、数倍の核密度で荷電K中間子凝縮が発現しうるとの可能性について検討し、フレバー非対称項より生ずる引力効果がS波K中間子-バリオン相互作用を通じて発生し、運動量零の凝縮が4Po以上でありうることを示した。(4)П凝縮中性子星は、丁度中心密度が共存П凝縮の臨界密度に近く、星の質量が(1.4±0.2)M.の範囲の変動をしても、星の構造に顕著な差異が生じ、ベラとクラブのパルサーのグリッチの大きい差異を説明する可能性があることが示された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Takatsuka: Progress of Theoretical Physics. 77. 362-375 (1987)
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[Publications] H.Yabu: Nuclear Physics B. (1987)
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[Publications] S.Yoro: Progress of Theoretical Physics. (1987)
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[Publications] 巽敏隆: 原子核研究. 31. 113-120 (1987)
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[Publications] 玉垣良三: 原子核研究. 31. 171-178 (1987)
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[Publications] 玉垣良三: "物理学最前線15,高密度核物質" 共立出版株式会社, 83 (1986)