1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61540217
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Research Institution | Institute of Space and Astronautical Science |
Principal Investigator |
藤井 正美 宇宙研, その他, 助手 (20013691)
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Keywords | CR-39 / 高感度 / 固体飛跡検出器 / 熱硬化性樹脂 / エッチング荷電粒子 |
Research Abstract |
CR-39よりさらに感度の高い固体飛跡検出器の開発を目指している。従来よく用いられてきたポリカーボネートやセルロースナイトレートはすべて熱可塑性樹脂であるのに対し、CR-39は熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂は3次元の網目構造をしており、荷電粒子によって損傷を受けていない部分は、化学エッチングに対して大変安定であり、バルクエッチング速度Vbが小さい。この熱硬化性樹脂に荷電粒子の通過によって切断され易い官能基を導入すると、飛跡に沿ったエッチング速度Vtが大きくなり、VtとVbの比すなわち感度の非常に高いものが得られる可能性が大きいと期待される。 これまでに、熱硬化性ポリエステル(DAS,DAA)、熱硬化性ポリカーボネート(PrAC,BuAC,PeAC)など新しい熱硬化性樹脂を合成し重合して、樹脂の分子構造と荷電粒子に対する感度の関係を系統的に調べてきた。その結果、エステル結合に対してカーボネート結合の方が約10倍感度が高いこと、CR-39ではカーボネート結合だけではなくエーテル結合も感度に寄与していることが分かった。CR-39より感度の高い樹脂を作るためには、エーテル結合よりも放射線に対してさらに弱い結合形式を導入する必要がある。現在、東レ基礎研究所の協力を得て、この方向で開発を進めており、飛跡検出器として感度の高い樹脂の試作合成を行うことが出来た。重合条件の最適化をはかり、高感度飛跡検出器として完成させたいと考えている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Fujii;J.Nishimura: Nucl.Tracks. 11. 25-33 (1986)
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[Publications] M.Fujii;R.Yokota: Nuclear Tracks. 12. 55-58 (1986)
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[Publications] M.Fujii;I.Csige;G.Somogyi: submitted to the 20th International Cosmic Ray Conference.