1986 Fiscal Year Annual Research Report
超高速時間分解分光法による2次元励起子の局在性と移動度端に関する研究
Project/Area Number |
61540221
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 新男 名大, 工学部, 助教授 (50159068)
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Keywords | 短周期超格子半導体 / ピコ秒ダイナミクス / 励起子の局在化 / 二次元励起子量子井戸のキャリヤ吸い込み / トンネル効果 / トンネル効果を伴った再結合過程 |
Research Abstract |
低い強度の励起光に対する微弱な発光の時間変化を測定する事ができる時間相関シングルフォトンカウンティングを用いるために、高性能の定比率微分弁別器(EG&Gオルテック社:モデル583型)と高速タイミングアンプ(EG&Gオルテック社:モデル574型)およびその電源を購入した。モード同期レーザーと組み合わせてピコ秒時間分解分光装置を整備した。 バリア層の厚さが薄いAIAs/GaAs超格子半導体試料における光キャリヤのダイナミクスの研究を行った。厚さ12Aのバリヤ層と厚さ34Aの井戸層が80層積層した短周期超格子試料、この試料の41層目に厚さが61Aの深い井戸を挿入した試料、および多重量子井戸バッファーとして付け加えた試料の3種類の試料を入手して実験を行った。発光強度の減衰曲線の解析から、バリヤ層が薄いために起こる、層に垂直な方向のキャアリヤ移動とトンネリングを伴った電子-正孔再結合が観測された。さらに、この試料に深い単一量子井戸を挿入した場合、深い井戸へキャリヤが吸い込まれ局在化することがそのダイナミクスの研究から分かった。Phys.Rev.B Rapid Communication.(1986年)に発表。さらに、液体ヘリウム温度の実験を行い、その結果を現在、解析中である。低温においては、井戸層とバリヤ層との界面の不規則性による励起子の局在化と深い井戸への局在化が同時に起こり、2種類の局在化過程が観測出来ると思われる。 一方、同様のヘテロ構造半導体で、バリヤ層の厚さの異なる試料を3種類深い井戸層の厚さの異なる試料を4種類入手し、その発光スペクトルを測定した。バリヤ層と井戸層の厚さによって、その局在化の様子が異なることが発光スペクトルから分かり、今後更に、詳しい研究をすることによって移動度端に関する知見が得られると思われる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] A.Nakamura;K.Fujiwara;Y.Tokuda;T.Nakayama;M.Hirai: Physica Review B (Rapid Communicatios). 34. 9019-9022 (1986)
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[Publications] A.Nakamura;K.Fujiwara;Y.Tokuda;T.Nakayama;M.Hirai: Journal of Luminescence.