1986 Fiscal Year Annual Research Report
NiAs型遷移金属カルコゲン化合物の電子構造の研究
Project/Area Number |
61540222
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
杉浦 主税 宇都宮大, 工学部, 教授 (20006406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 通英 宇都宮大学, 工学部, 助手
村松 伸二 宇都宮大学, 工学部, 助手
中井 俊一 宇都宮大学, 工学部, 助教授
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Keywords | X線吸収端構造 / ケミカルシフト / 分光化学系列 / 多重散乱理論 / ヒ化ニッケル型 / 分子軌道 |
Research Abstract |
近年、3d遷移金属化合物,とりわけVb族,V1b族などの元素と遷移元素から作られる金族間化合物の電子構造の研究が活発に行われている。Fe,Co,Ni等の3d遷移金属とカルコゲン(S,Se,Te等)とのAX型化合物はNiAs型構造をとる。この構造では各A原子は歪んだ八面体の頂点にある6個の隣接X原子により配位されているが、X原子の6個の隣接A原子は三角柱の頂点にある。この三角柱配位はカルコゲンのd準位がP準位と混じって【P^3】【d^3】の混成軌道を作り、遷移金属の八面体的軌道【d^2】【SP^3】と重なっていると考えられる。そこで本年度はNiS,NiSe化合物のNiのX線に吸収スペクトル(伝導帯のP状態を反映する)を精密測定した。同時に金属Niと酸化物NiO(NaCl型)のNiのK吸収スペクトルも測定し、NiAs型化合物からのスペクトルと比較した。得られた結果は次の通りである。 (1)NiOとNiSのスペクトルの形状は似ている。 (2)NiSeはNiS(又はNiO)と異なったスペクトル形状を示し、金属Niのスペクトルといくらか似ている。 以上のことからNiO,NiS,NiSeのNiのK吸収スペクトルは非金属元素(O,S,Se)電気陰性度に強く影響されることが分かった。 又、金属Niと上記化合物のNiのK吸収スペクトルは短距離秩序多重散乱法で説明できることが分かった。 次に4d遷移金属錯体【K_2】Pd【Cl_4】,[Pd【(HN-3)_4】]【Cl_2】【H_2】O,Pd【(OCOCH_3)_2】のPd【L_(III)】吸収スペクトルとClK吸収スペクトルを測定し、次の結果を得た。 (1)配位子【Cl^-】,【OCDCH(^-_3)】,【NH_3】の影響がPd【L_(III)】吸収スペクトルに強く現れる。 (2)Pd【L_(III)】とClK吸収スペクトルの第1吸収ピークは【Pd2_(p3/2)】とCl1sレベルから【D_(4b)】対称をもった正方平面錯体の分子軌道【b_1】(【α^x】)への遷移によることが分かった。
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Research Products
(2 results)