1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61540227
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
吉田 喜孝 富大, 理学部, 助手 (20107444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田沼 静一 群馬大学, 工学部, 教授 (70013448)
佐藤 清雄 富山大学, 理学部, 教授 (20023070)
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Keywords | グラファイト層間化合物 / 軌道磁性 / 黒鉛 / 二次元電子系 |
Research Abstract |
(1)面間相互作用強度の異なる二種類の黒鉛,HOPGとPG,にアクセプターとして五塩化アンチモンを挿入させた試料(ステージ1〜6)を育成した。 (2)現有のトルク磁力計を用い異方性帯磁率を測定し、C軸方向の軌道帯磁率を算出した。(左図)図中●,○印は各々面間相互作用が比較的強いHOPG,弱いPGに挿入させた試料の結果である。第4ステージに注目すると、PG試料ではHOPG試料でみられる常磁性側への突起の消失が認められる。この第4ステージでの常磁性側への突起は、ドナー型のカリウム・グラファイト層間化合物でも観測されている(図中□印)。 (3)この第4ステージでの常磁性側への突起は、近年国際的に理論グループの注目を集め、斉藤・上村により定性的に実験を説明する理論が提出された(図中△)、それによると、層間に不均一に分布した電荷により第4ステージの場合4つのπバンドが生じ、それらのバンドの間の相互作用は軌道帯磁率に対して常磁性寄与と反磁性寄与に二分されフェルミ準位との兼合いにより両者の寄与の均衡が大きく破れ、第4ステージの場合、前者の寄与が後者より大きくなっている為とされている。これに従えば面間相互作用が弱い場合より大きな寄与の常磁性項が小さくなる結果常磁性側への突起の消失が期待される。 (4)本研究の結果(2)は上記予想と一致するものとなった。 (5)今後、強い面間相互作用の場合の研究が望まれる。その場合常磁性側への突起が強調されるならば斉藤・上村理論でグラファイト層間化合物の軌道帯磁率はほゞ理解されたことになろう。
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Research Products
(2 results)