1986 Fiscal Year Annual Research Report
ルテチウム-鉄-シリコン三元化合物の超伝導に関する鉄原子の役割
Project/Area Number |
61540231
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
太田 昭男 豊橋技科大, 工学部, 助教授 (10124728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 精一郎 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (30023013)
小山 晋之 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (40170394)
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Keywords | 超伝導 / 三元シリコン化合物 / 希土類化合物 / 鉄を含む化合物 |
Research Abstract |
鉄を含むシリコン化合物【Lu_2】【Fe_3】【Si_5】の超伝導に関する鉄原子の役割を明らかにする目的で、化学量論組成で調製した【Lu_2】【Fe_3】【Si_5】と、組成をずらして調製した【Lu_2】【Fe_(3+x)】【Si_5】および【Lu_(2+x)】【Fe_3】【Si_5】、超伝導特性と電気的性質について研究した。当該年度における研究実績の概要を以下に記す。 1.実験方法 (1)試料はアーク溶解によって作製し、その後所定の熱処理を実施した。X線回折装置およびXMA等により試料の金属学的評価を行なった。 (2)電気抵抗は直流四端子法、ホール係数は直流法と交流法により測定した。超伝導遷移温度Tcと上部臨界磁場【Hc_2】の決定には電気抵抗と交流帯磁率の測定を併用した。 2.実験結果 (1)Tcは化学量論組成において最大(6.0K)となるが、組成がずれるにつれて減少する。特に、鉄の割合いが化学量論値(30at%)を超えたとき著しい減少が見られる。【Hc_2】は温度の低下とともに直線的に上昇する。直線の勾配には試料間での顕著な違いは認められない。 (2)電気抵抗は温度の上昇とともに増加し、金属的な振舞いを示す。また50K以下で抵抗は温度の二乗に比例し、低温での電子の散乱機構は電子-電子散乱によるものと考えられる。試料の残留抵抗比9(300K)19(4.2K)は化学量論組成で最大(約16)となるが、組成がずれるにつれて減少する。 (3)化学量論化合物【Lu_2】【Fe_3】【Si_5】(Tc=6.0K)および【Y_2】【Fe_3】【Si_5】(Tc=2.4K)に対してホール効果の測定を行ない、キャリア密度nを求めた。【Lu_2】【Fe_3】【Si_5】のnは【Y_2】【Fe_3】【Si_5】の約3倍となり、両化合物の間におけるTcの違いはキャリア密度の違いによるものと思われる。なお次年度は、比熱と帯磁率を中心に研究を進める計画である。
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Research Products
(2 results)