1986 Fiscal Year Annual Research Report
エピタキシャル成長させた超伝導材料の高分解能電子顕微鏡による構造解析とその物性
Project/Area Number |
61540233
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
熊尾 章宏 京工繊大, 工芸学部, 助教授 (00027806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内貴 俊夫 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (80027739)
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Keywords | 超伝導材料の薄膜化 / エピタキシャル成長 / スパッタリング蒸着法 / イオンビーム蒸着法 / 非晶質構造 |
Research Abstract |
本年度はエピタキシャル成長による薄膜作製の技術を確立すること、および電子顕微鏡を用いた薄膜の構造解析に重点を置いて研究を進めた。以下に研究計画に対応させて現時点で得られている成果について報告する。 1.昨年度完成させたスパッタリング装置を用いて【Nb_3】Sn,【Nb_3】Geのエピタキシャル薄膜の作製を試みた。下地として室温でKclを用いた場合、均一な厚さの薄膜が得られたが構造は主に非晶質で、作製条件によっては微結晶も存在することが電顕観察でわかった。下地をMgO、下地温度を745℃とした場合、結晶化した薄膜が得られたが、電子回折像をみるとエピタキシャルな成長はしていない。さらに良好な試料の作製条件を調べている。 2.超伝導エピタキシャル膜の形成には厳密な作製条件の制卸を必要とするので、制卸しやすいイオンビーム蒸着法を試みるため、本年度の設備備品費でイオン銃を購入し装置を完成させた。転移温度を高めるため【Nb_3】Geに微量のSiを混入した薄膜をイオンビーム法で作製した。下地がNacl、Kclの場合は、下地温度が高くできないこともあって形成された薄膜は非晶質構造であった。下地がMgO、温度が560℃の場合、回折像は膜がエピタキシャル成長した結果を示しているが、未解析のリングもなお残っている。 3.各方法によって作製された薄膜の臨界温度を測定するため、真空装置内で〜11゜Kまで試料を冷却しながら比抵抗の測定を試みているが、薄膜と引き出し導線の接着に問題が生じてきたので、現在検討を重ねている。 4.作製された薄膜は随時高分解能電子顕微鏡で観察し、また反射電子回折像も利用して薄膜の構造を原子レベルで解析している。 今後の展開としては薄膜の成長条件、構造および臨界温度の相関関係を見い出すこと、また、ホール係数の測定も行いキャリアの移動度や密度を求めて構造と物性を明らかにしたい。
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