1986 Fiscal Year Annual Research Report
半導性イオン伝導体リチウムシリサイドの複合電気伝導機構の解明
Project/Area Number |
61540247
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
栗山 一男 法政大, 工学部, 助教授 (20125082)
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Keywords | リチウムシリサイド / 高速複合伝導体 / 光起電力 |
Research Abstract |
昭和61年度はリチウムシリサイド結晶の育成を中心に研究を行った。結晶成長用るつぼ材料としては、タンタル,窒化ボロン等を用いたが、タンタルるつぼの方が有効であることがわかった。結晶育成の最適条件は現在なお検討中であるが、各原料を700〜800℃、約30分間溶融し、さらに550℃で7〜10時間の熱処理により、比較的均質の多結晶が育成できた。X線回折により、Schneringら[Z.Metallkd.71,357(1980)]が報告している【Li_(12)】【Si_7】の回折パターンと類似した斜方晶系(a=8.560,b=19.802,c=14.322(【A!゜】))の回折パターンを観測した。組成比のわずかなずれで1/50(【A!゜】)程度の格子定数の変化がみられた。室温における比抵抗測定の予備実験は、いくつかの試料でKeithley220型定電流源(61年度購入)を用いて行った。Schneringらの報告値(バンドギャツプ0.6eV;〜【10^6】Ωcm(室温))とは大きく異なり、【10^(-4)】Ωcmのオーダーの比抵抗値を申請者は観測している。この大きな相異は、リチウムシリサイド(【Li_(12)】【Si_7】)の電気伝導機構を解明する上で本質的問題を含んでいると考えられるので、さらに詳細な電気的測定の必要性が生じた。さらに本研究で得られたホール起電力は負の値を示し、多数キャリアは電子であることがわかった。ホール移動度の代表的な値は85【cm^2】/Vsec(室温),105【cm^2】/Vsec(77K)であり、電気抵抗の温度依存性は金属的性質を示した。これは多数キャリアが正孔で非常に大きなリチウム原子の自己拡散係数を有し半金属的伝導機構を示す"高速複合伝導体LiAl"と類似した伝導機構を有していると考えられる。事実、LiAlで観測された室温におけるリチウム原子の自己拡散に起因する光起電力現象[Phys.ReV.Lett.(投稿中)]がリチウムシリサイド(【Li_1】x【Si_7】)においても観測された。その値はLiAlよりも大きく、240mw/【cm^2】のキセノンランプ光照射で140μVであった。
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Research Products
(1 results)