1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61540250
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
榎 敏明 岡崎共研機, その他, 助手 (10113424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮島 清一 日本大学, 文理学部, 助手 (30157648)
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Keywords | グラファイト層間化合物 / インターカレーション / 金属中の水素 / 水素吸収 |
Research Abstract |
化学吸着系第1及び2ステージ化合物【C_4】KHx(n=1,2)の電気伝導度、熱電能ESR,プロトンNMRについての実験を行った。【C_4】KHxの電気伝導は面内、面間ともに金属伝導を示し、異方性は【(ρ)_H】/【(ρ)_(1〜2.5×【10^3】である。この異方性の値はド)】ナー型(10〜【10^2】)、あるいはアクセプター型(【10^4】〜【10^G】)グラファイト層間化合物の中間の値を示し、特異な電子状態を反映している。この異方性の値より全電子状態密度に対する水素原子での局所状態密度の比は【N_H】(【E_F】)/N(【E_F】)〜【10^(-2)】と見積られ、インターカラント中に存在するイオン格子【K^+】【H^-】の水素原子にわずかの伝導キャリアーが存在することを示唆する。熱電能はフォノンドラッグ項により説明される挙動を持ち、高温側の大きなフォノンドラッグ、低温に存在する小さなフォノンドラッグから、大きな電子フェルミ面(【k(^e-F)】〜【10^7】【cm^(-1)】)と小さなホールフェミニ面(【K(^h-F)】〜【10^5】【cm^(-1)】)が共存することが明らかになった。又、プロトンNMRの測定からスピン格子緩和時間には小さなコリンハ項【√!T_1T】=1.7×【10^(-2)】【S^(-1/2)】【K^(-1/2)】の存在が観測され水素上のわずかなキャリアの存在が裏付けられた。以上の結果を総合するとドナーであるKより電子はC,H原子に移動して【K^+】となり、大きな電子フェルミ面はグラファイト【π^*】バンドに移った電子により作られる。又、水素は強い電子親和力を持ち、ISバンドがほぼ満たされ【H^-】となるが、厳密にはC原子上にある伝導電子のスクリーニング効果により若干のホールの存在する【H^(-8)】(8(【<!〜】)1)の状態となり、小さなホールバンドを形成する。金属水素化物には局在性の強い電子状態を持つアルカリ金属水素化物(【K^+】【H^-】)の様なイオン的絶縁体と非局在的な合金状態を持つ遷移金属水素化物(PdHx)が両極端として存在するが、我々の系はこの中間に位置する特異な電子状態を持つことが明らかになった。ESRの測定結果からは伝導電子スピンと局在電子スピンが共存することが示唆され、インターカラント【K^+】【H^-】のイオン的性格が裏付けられた。
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