1986 Fiscal Year Annual Research Report
反強磁性鎖における磁壁間の相互作用と熱的性質および動力学への効果
Project/Area Number |
61540255
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
猪苗代 盛 東北大, 工学部, 教授 (20005218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白倉 孝行 東北大学, 工学部, 助手 (90187534)
松原 史卓 東北大学, 工学部, 助手 (90124627)
滝本 昇 東北大学, 工学部, 教授 (10005217)
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Keywords | 反強磁性鎖 / 一次元反強磁性体 / 磁壁 / ソリトン / 三角格子 / 六方晶磁性体 / 交流磁場中の相転移 / スピングラス |
Research Abstract |
1.反強磁性鎖における磁壁の対生成と対消滅の効果をボゴリューボフ変換によって取り入れ、また、磁壁間の相互作用の効果を有限温度のランダム位相近似で取り扱った。その結果、異方性の広い範囲にわたって、この系の熱的性質をよく記述することが出来た。更に、動力学的相関関数に対する相互作用の効果を計算し、磁壁の寿命が平均距離を群速度で割った程度になることが示された。 2.競合する相互作用をもつ系として、反強磁性鎖から成る六方晶磁性体、および稠密六方晶磁性体における相転移とスピン構造をモンテカルロ・シミュレーションで調べた。 (1)六方晶磁性体では、層間の相互作用が三角格子内のスピンの代数的秩序を安定化し、三つの部分格子で記述されるスピン構造が空間的にも時間的にもランダムに変調されている新しい相が生じていることが示された。稠密六方晶磁性体では、代数的秩序は弱い相間相互作用に対しても不安定になり、どのような周期構造も生じないことが示された。これらのスピン構造に基づいて、【LiNiO_2】についての最近の実験結果が説明された。 (2)更に、c面内の第二隣接相互作用が無い場合を詳細に調べた結果、二つのスピンの相関関数は距離の-1.1乗で減衰しており、Blankschein等の結論とは異なって、ネール温度以下の全温度領域でランダムに変調された相(RMP)が生じていることが示された。 3.磁性系の交流磁場の中での振舞いを調べる出発点として、交流磁場中での強磁性体のレスポンスを、ソフトスピン系と比較して、より現実的な運動学的イジング系で研究した。その結果、交流磁場中で帯磁率の実部の極小で特徴づけられる相転移が存在し、転移温度は交流磁場の周波数と振幅に依存することを見出した。スピングラスなどの競合する相互作用をもつ系への拡張が次の課題である。
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[Publications] 松原史卓: J.Phys.Soc.Japan. 55. 1438-1441 (1986)
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[Publications] 松原史卓: Prog.Theor.Phys.Supplement. 77-89 (1986)
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[Publications] 松原史卓: J.Phys.Soc.Japan. (1987)
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[Publications] 白倉孝行: J.Phys.C. (1987)
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[Publications] 白倉孝行: Zeitschrift f【u!¨】r Physik. (1987)