1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61540261
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
和田 靖 東京大学, 理学部, 教授 (70011476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 嘉之 東邦大学, 理学部, 助教授 (30011761)
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Keywords | ソリトン / 散逸運動 / 拡散係数 / 量子効果 / ポリアセチレン / 音響フオノン / ドーピング / 結合交替 / ラマン散乱 / ポーラロン / 光伝導 |
Research Abstract |
1.φ^4のソリトンについて残されていた課題は, ソリトンーフオノン高次相互作用に対する量子化の影響であったが, 森公式による抵抗係数の計算がなされた. 低温でフオノンの熱励起が少くなるために抵抗も活性化型の温度変化をすることを見出した. 2.ポリアセチレンのソリトン: (1)音響フオノンについて: 電子と音響フオノンの相互作用は連続体近似の補正項から生じる. その最低事項によってソリトンと音響フオノンの構造が求められ, 高次項によってその間の相互作用が調べられた. 長波長の音響フオノンがソリトンと衝突すると反射される. このとき運動量の受渡しが行われる. またフオノンとソリトンの引力的相互作用によりフオノン波束がソリトンを通過するとソリトンが酔歩運動を起す. この二つの機構によるソリトンの拡散係数が求められた. 実験で計られた温度変化を説明するには十分でなかったが, 多フオノン過程を考慮する必要があると思われる. (2)ドーピングの効果について: ポリアセチレンに不純物をドープするとソリトンが作られ, 金属の性質を示すようになる. この事情をドーピングの度合が小さい場合に数値的に研究した. ドーピングの模型として各イオンサイトの電子にランダムなポテンシャルが働くときと, サイト間の電子の重なり積分にランダムさが入る場合の二つを調べた. 両方の場合でソリトンが作られることが認められ, 結合交替は予想以上に強いドーピングまで残っていることなどが判った. 格子振動や赤外吸収などについても研究した. 3.光誘起ラマン散乱: ポリアセチレンにソリトン又はポーラロンがあるときのラマン散乱強度を計算した. 局在モードによる新しいピークと, 非局在モードの強度の減小を予言した. これは光伝導の担い手がソリトンかポーラロンかを区別する手掛りを与える.
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[Publications] M.Ogata, A. Terai and Y. Wada: J. Phys. Soc. Japan. 56. 3220-3227 (1987)
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[Publications] M. Ogata and Y. Wada: Jpn. J. Appl. Phys.SUPPLEMENT 26-3. 1481-1482 (1987)
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[Publications] K. Iwano and Y. Wada: J. Phys. Soc. Japan. 56. 3970-3982 (1987)
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[Publications] K. Yonemitsu, Y. Ono and Y. Wada: J. Phys. Soc. Japan. 56. 4400-4407 (1987)
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[Publications] M. Ogata and Y. Wada: submitted to Prog. Theor. Phys.SUPPLEMENT.
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[Publications] H. Kurita, Y. Ono and Y. Wada: to be submitted to J. Phys. Soc. Japan.
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[Publications] Y. Wada: "Energy and Angle Variables in a Two-Dimensional Tight-Binding System of Electrons: in ″High Temperature Superconductors″" World Scientific, 3 (1987)