1986 Fiscal Year Annual Research Report
量子スピン系におけるモンテカルロシミュレーションの研究
Project/Area Number |
61540263
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
本間 重雄 名大, 工学部, 助手 (50023297)
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Keywords | 計算機実験 / 量子スピン系 / 分割セルモンテカルロ法 / 2次元XY模型 / コステルリッツ・サウレス転移 / 三角格子反強磁性 / ハイゼンベルグ模型 |
Research Abstract |
近年、計算機の大型化高速化により、大規模な計算機実験が可能になり、特に量子多体系の低温物性研究が急速に進んだ。我々はこの系に対する数値実験の手法として分割セルモンテカルロ法を提案した。今年度はこの手法を2次元量子スピン系に応用するためのプログラム開発及びこれを用いて(1)正方格子XY模型,(2)三角格子反強磁性体の低温物性を研究する事を計画し実行した。その結果、次の様な新たな知見を得た。まず(1)については古典系で存在が証明されているコステルリッツ・サウレス転移が2次元量子系にも存在することを明らかにした。さらに相転移を記述する臨界指数の一部分を転移温度より上の領域で求めた。しかし指数間の関係を明らかにするに十分なデータはまだ得られていないが、これは次年度の課題である。(2)については、この系は量子効果とフラストレーションとが共存するため、低温でどの様な秩序状態が出現するかが問題である。これに対して具体的にハイゼンベルグ模型を用い次の知見を得た。この系は低温で3つの部分格子構造を示すがこの構造は空間的,時間的に指数関数的に減衰し、従ってこの構造は基本的に短距離秩序である。このことは古典系とは基本的に異なる結果となっている。減衰に固有な長さや時間を求めることは次年度の課題である。なお三角格子XY反強磁性模型についても新しい知見を得ているが、これ等の結果は未発表である。 従来の量子多体系への計算機実験は、巨視的熱力学量の測定が中心であったが、我々は系の微視的構造の測定を可能にする研究手段を開発したといえよう。 本研究に際して大型計算機の端未装置を購入し、これを十二分に活用出来た。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] S.Homma: Prog.Theor.Phys.75. 1058-1065 (1986)
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[Publications] S.Homma: Prog.Theor.Phys.76. 1-10 (1986)
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[Publications] S.Takeno: J.Phys.Soc.Jpn.55. 2547-2561 (1986)
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[Publications] S.Homma: Prog.Theor.Phys.Supplement. 87. 127-138 (1986)
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[Publications] S.Takeno: J.Phys.Soc.Jpn.56 No.2. (1987)