1986 Fiscal Year Annual Research Report
離散力学系を生成する母関数及びその高次導関数の解析的性質
Project/Area Number |
61540283
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
紺野 公明 日大, 理工学部, 講師 (50059606)
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Keywords | 力学系 / 複素力学系 / 母関数 / カオス / リヤプノフ指数 / フラクタル / ソリトン / 可積分系 |
Research Abstract |
1.力学系を複素化し、その解析的性質より力学系の性質を調べる新しい方法として、力学系を生成する母関数の展開パラメタを複素化し、その母関数及びその形式的導関数の解析的性質より力学系が示す規則及び不規則性を考察した。外部パラメタaを持つ力学系を【x_(n+1)】=4(a,xn)で与える。それを生成する母関数をFo(t,xo)=Σxm(xo)【t^n】で、その形式的k階導関数を【F_R】(t,xo)=Σ【d^k】xm(xa)/d【xo^k】【t^n】で与える。まずFoと【F_1】の解析的性質を主にパラメタaが【2^n】の周期倍化を起す領域で調べた。周期【2^n】を示すパラメタ領域ではFoは複素t平面上|t|=1の円周上に【2^n】個の位数1の極を偏角(2π/【2^n】)N(N=0,1,2,【2^n】-1)の位置に持つ。又【F_1】は極を【2^n】個持つがその位置はパラメタaにより|t|=1の円周上から|t|=∞まで偏角(2π/【2^n】)Nで変化し、その後偏角(2π/【2^n】)N+2π/【2^(n+1)】で|t|=∞から|t|=1まで戻ってくる。そしてそれらの極が|t|=1の円周上につくと分岐し【2^(n+1)】の周期に移る。Feigen baum極限では|t|=1の円周上が自然境界をつくるものと予想される。次に軌導の安定性を表わす【F_1】の収束半経【t_1】(xo)が力学系のリヤプノフ指数λ(X0)と入=1n【t_1】の関係で与えられることが示された。最後にFoのフラクタルな性質について議論した。Foの収束半経toと【F_1】の収束半経【t_1】が、もし【t_1】<【t_0】の関係にあれば【t_1】<|t|<【t_0】の領域でFoはtについて連続であるが、xoについて微分不可能になる。このようなtの領域ではFoはxoに関してフラクタルな性質を持つことが示された。2変数を複素化し、その力学系をその解析的性質から調べる考え方をソリトン間に働く相互作用に応用して調べた。可積分な非線形波動方程式のソリトン解は独立変数の1つを複素化すると、その複素平面上で極の無限個の組として表わされる。ソリトンの相互作用は、その複素平面上で三種類の振舞の異なる極を用いて理解できることが示された。3以上力学系の複素化が有効な解析的手段であることが示された。
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