1986 Fiscal Year Annual Research Report
カリフォルニア沖の沿岸湧昇の再現-平均場と季節変動
Project/Area Number |
61540297
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉ノ原 伸夫 東大, 理学部, 助教授 (50090519)
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Keywords | 沿岸湧昇 / 極向き潜流 / 東境界過程 / 熱塩循環 / 沿岸に捕捉された波動 |
Research Abstract |
カリフォルニア沖の海底地形・密度構造を考慮した三次元レベルモデルを作製した。まず、定常的な風の応力に対する応答として、応力に分布(curlτ)を与えた場合を計算したところ、斜面上に顕著な極向き潜流を再現することが出来た。この事は、筆者の従来の研究を補足するもので、岸沿いの風の岸に直角な方向の分布が、観測される定常的に存在する極向き潜流の形成に本質的であることを示している。次に、海面を通しての熱収支効果を検討するため南北方向に分布する熱収支を与えた場合を計算したところ、従来の粗い格子間隔を用いた大循環モデルにおける東境界過程の様相とは異なる結果を得た。これは、熱塩循環に対して東境界過程、特に沿岸に捕捉された波動の存在、の重要性を示唆するものと考えられた。その為、この過程を明らかにする目的で、熱塩大循環モデルによる実験を行った。その結果、東西の境界に沿って励起されるケルビン波がこれらの沿岸付近の現象(例えば岸に沿った流れ)にとって重要であるばかりか、東境界におけるケルビン波は、この波に伴う流れにより陸岸に沿っての密度場を一様化し、かつロスビー波として西へ分散していくため、海洋全域における熱塩循環を海洋上層部に集中させるようになることがわかった。この事は、従来の筆者等の研究によって明らかにされた風による沿岸湧昇に対してと同様、熱塩循環に対しても、ケルビン波(沿岸に捕捉された波動としての)が本質的な役割を果すことを指摘したものであり、また海洋大循環の理解にとって東境界過程の把握の重要性を再認識させるものである。
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Research Products
(1 results)