1986 Fiscal Year Annual Research Report
レシチン型光重合性リン脂質とパッチ・クランプ法によるイオンの膜透過機構の研究
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61540332
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
甲斐原 梢 九大, 理学部, 助手 (90080564)
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Keywords | イオンの膜透過機構 / 光重合成リン脂質 / パッチ・クランプ法 / 逆ミセル型イオン・キャリア |
Research Abstract |
1.主な実験装置の整備とその意義について 本研究費補助金による装置の整備は、松下通信工業製のVS3310A型FFTアナライザの設置と周辺電気回路の製作である。この事により、従来マイクロコンピュータに頼っていたデータ処理時間は飛躍的に短縮されると共に、信頼性向上とオンライン処理による実験の効率化をもたらした。 2.今年度中に得た具体的成果並びに途中経過について 先端直径3〜5μmのガラス電極を製作し、スパン80,各種リン脂質,更に、目的とする光重合性リン脂質を用いたパッチ・クランプ実験を行った。モノマー型二重膜系については他の系と同様に測定を行う事が出来るが、紫外線照射によりバッチ膜を重合させる過程で若干の問題を生じている。重合に予想以上の時間を要し温度が上昇する等の原因が考えられ、系の温度制御と共に、電極材料としてのガラス・キャピラリの材質の吟味や電極先端の大きさと形状の検討を含め、問題解決に務めている。 研究主題に関連してリン脂質のイオン・キャリアとしての性質を検討する研究では、リン脂質が液体膜中で逆ミセル型陽イオン・キャリアとして機能し、特異な相転移を利用した膜透過制御が可能である事を見出だした。ミセルが介在した膜透過制御は膜利用技術の一環として注目されており、本研究の最終目的の一つである有用物質の制御型放出にも密接に関連している。 3.反省と今後の展望について 現在までに光重合性リン脂質を用いた実験はベシクル系で行われており、平面パッチ膜との実験条件設定に微妙な差異があるものと思われる。いずれにせよ単なる技術的な問題として解決し得るものである。今後は提出した研究計画に沿って研究を進めると共に、光量子相関スペクトル法で重合過程を追跡する共同実験を計画している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 甲斐原梢: Journal of Membrane Science. 29. 37-47 (1986)
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[Publications] 甲斐原梢: Memoirs of the Faculty of Science Kyushu University, Series C Chemistry. 15. 177-188 (1986)
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[Publications] 甲斐原梢: 生体の科学. 38. 84-88 (1987)
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[Publications] 井上浩義: 第8回日本膜学会年会講演要旨集. 36 (1986)
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[Publications] 甲斐原梢: Proceedings of the 1987 International Congress on Membrane and Membrane Processes. (1987)
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[Publications] 甲斐原梢: Bulletin of the Chemical Society of Japan.