1986 Fiscal Year Annual Research Report
ミセルおよび生体関連物質溶液中の化学反応の速度論的研究
Project/Area Number |
61540341
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
佐々木 宗夫 甲南大, 理学部, 教授 (90025396)
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Keywords | 反応速度 / 生体関連物質 / 包接化 / プロトン移動 / シクロデキストリン / 核酸 / ミセル / 有機金属錯体 |
Research Abstract |
1.Cp【II】やNi【II】などの二価金属イオンと、ピリジン-2-アゾ-P-ジメチルアニリンやビピリジルとの二座配位錯体形成反応の速度は、アニオン性界面活性剤を添加すると臨界ミセル濃度のところで極大値を示し、カチオン性ミセルを添加すると単調に減少した。これは、ミセル表面での電場の影響のため、二価金属イオンの分布が水相とは異なっていることによることが解明できた。 2.1,8-ビス-ジメチルアミノナフタレン(プロトン・スポンジ)は強い塩基である。これが水分子から【H^+】を引き抜く反応とその逆反応の速度は、界面活性剤の添加によって顕著な影響を受けるだけでなく、水相とミセル相とで反応の吸発熱性が異なることを初めて見出した。これは両相での反応物の濃度分布の差違のみならず、反応性が反応場の誘電的性質によって異なることに由来するとして解釈できることがわかった。 3.α-シクロデキストリンヘアゾ色素が包接される反応とその逆反応について、初期の出入りの速い過程と、それに引き続いて包接孔内で安定化していく過程とを共に直接的に観測した。その反応性はアゾ色素の立体的な形状のみならず、電気的性質にも著るしく依存することが判明した。 4.DNAと臭化エチジウムとの結合反応を、吸光および蛍光ストップト・フロウ法(SF)と温度ジャンプ法(TJ)によって研究した。SF法では二つの緩和曲線が得られ、TJからはさらに速い(マイクロ秒程度)過程も観測された。これらはDNA主鎖への臭化エチジウム(EB)の付加,DNA内部へのインターカレーション,DNA表面でのEBの二量化のほかに、インターカレーション後の包接化合物の安定化,DNAとEBとのクーロン相互作用の温度によるゆらぎなどが観測されたと考えられるが、その解明は今後の課題である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 佐々木宗夫: Chemistry Express. 1. 463-466 (1986)
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[Publications] 佐々木宗夫: Memorirs of the Konan University,Science Series. 33. 73-82 (1986)
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[Publications] 佐々木宗夫: Journal of Chemical Society,Chemical Communications. (1987)