1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61540347
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井川 駿一 北海道大学, 理学部, 講師 (90001841)
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Keywords | 高圧振動スペクトル / ダイアモンドアンビル / 分子のコンフォメーション |
Research Abstract |
1.有効開口径0.3〜0.5【mm^φ】のダイアモンドアンビルセルによる赤外吸収測定を良好なS/N比で行なうために、高感度のHgCdTe赤外線検出器を用いて、倍率が4の集光測定系を製作した。これは現有のディジラボFTS-14フーリエ変換赤外分光器の試料部空間に収まり、設置と取外しは極めて容易である。当初、非軸放物面鏡で集光する予定であったが、光学系の調整の難易とスペースの点から、KRS-5赤外レンズを2枚用いるように変更した。第1のレンズにより、干渉計からの光をアンビルセル試料部に集光し、試料透過光を第2のレンズにより検出器の検知素子に集光するものである。通常の走査条件において、口径0.4【mm^φ】のピンホールの透過光を充分なS/N比で測定できることを確認した。検出器のカットオフ波長は19.8μmで、500【cm^(-1)】以上の波数領域で使用できる。 2.ドルッカー社(オランダ)製のタイプ【II】Aダイアモンドをアンビルセルに取付け、対抗面の平行度調整を行なった後、赤外吸収を測定したところ、ダイアモンドの固有吸収帯1800〜2600【cm^(-1)】以外の領域では充分な透過率を持ち、特にタイプ【I】のダイアモンドに見られる1100〜1300【cm^(-1)】の強い吸収帯が無く、分子のコンフォメーション研究に適していることが確認された。 3.平均分子量400のポリエチレングリコールを、標準のガスケット(インコネル,厚さ0.3mm)を用いてアンビルセルに充填し、圧力1.6.22.40kbarに加圧して赤外スペクトルを測定した。OH変角振動吸収帯は0.3【cm^(-1)/kbar】の高波数シフトを示したが、これから、OH基は水素結合にあまり関与していないものと想像される。コンフォメーションに敏感な他の吸収帯に関しては、試料の吸収が強すぎて有意な結果を得るに到っていない。厚さ0.02〜0.05mmのガスケット材料を入手して、測定する予定である。
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