1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61540350
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 博史 名大, 教養部, 教授 (80025866)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平尾 公彦 名古屋大学, 教養部, 助教授 (70093169)
|
Keywords | 溶液反応 / 分子軌道計算 / モンテ・カルロ法 / 【SN^2】反応 / イオン・クラスター |
Research Abstract |
理論計算の進歩により、気相反応については、ほぼ定量的な取扱いが可能となりつつある。しかし、化学反応の多くは液体を媒介としており、溶媒和や脱溶媒和が化学反応速度を左右している場合が多い。また溶媒の種類によっても、反応の様子は大いに異なっている。つまり、溶液反応では、反応に直接関与する分子間の相互作用ばかりでなく、溶媒分子と反応分子あるいは溶媒分子間の相互作用,エネルギー移動等が重要である。一方、クラスター反応は気相と液相反応の中間に位置するものとして興味がもたれ、実験結果も集積し始めている。本研究では、【Cl^-】+【CH_3】Br→Cl【CH_3】+【Br^-】の【SN^2】反応を取り上げ、気相,クラスター,水溶液中で理論計算を行なった。各々の電子状態の差異に注目し、化学反応を分子論的レベルで解明することを目的としている。 気相反応についてはab initio分子軌道法により、反応経路に沿って、con-dipole complex,遷移状態,生成物等のエネルギー,構造,電子状態を理論計算し、実験的に予測されているポテンシャル曲面を再現した。(この反応は負の活性化エネルギーをもっている。)溶液反応は水を溶媒とし、溶質-溶媒,溶媒-溶媒間のpair potentialは分子軌道計算で求め、これを基にして、モンテ・カルロ法による計算機シュミュレーションを行ない、溶液中でのポテンシャル曲線,熱力学データを求めた。気相,溶液反応についての差異や溶媒効果・反応速度を支配する因子の抽出等については現在検討中である。又溶媒を水からアセトニトリルにかえて研究を続けたいと考えている。 なお、クラスターの構造や安定性に関する研究,ポテンシャル曲面を精度良く記述する方法論の開発も同時に行なった。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] K.Hirao: Theoret.Chim.Acta.
-
[Publications] K.Hirao: Chem.Phys.Lett.
-
[Publications] K.Hirao: J.Mol.Struc.
-
[Publications] H.Kato: Chem.Phys.
-
[Publications] K.Hirao: Chem.Phys.Lett.